
しおり
@Kaffee5888
2025年4月5日

汚れた手をそこで拭かない
芦沢央
読み終わった
「悪いことしたから悪いことが起きるとは限らないんだよ」
この一文が凄まじいな、と思った。そうだ、悪いことをした悪い人にしか悪いことが起こるわけでもないし、寧ろ悪いことが起こらないこともある。日常を生きていれば「なんか悪いことしたかなぁ…」と思うこともある。良いことと悪いことの比率をひとつひとつ指折り数えてみれば多いくらいかもしれない。何をしたって結局未来には何が起こるかなんて誰も知りはしない。
この作品は日常にありうるかもしれない、奇妙な感覚がある。そしてついでに言うと、後味は悪い!けどそれが妙に気持ちがいい。これがミステリーかと言われるとちょっと違うとは思うけれど…。道尾秀介さんとかの作品が好きな人は結構好きな部類になるんじゃないかなぁとも思う。(別の作者を出してごめんなさいね)
主人公たちはどこで汚れた手を拭けば良かったのだろうか。拭ける場面なんてあったのだろうか。汚れた手を、そこで拭けなかった。だから、こんなことになったのね。



