阿久津隆 "余命一週間の探偵として" 2026年8月18日

阿久津隆
阿久津隆
@akttkc
2026年8月18日
余命一週間の探偵として
余命一週間の探偵として
ホリー・ジャクソン,
服部京子
外はまだ明るさが残っていて、ベランダの扉を開けてみると蜘蛛が巣を張っていたので、スリッパでくるくると破き、巻き取り、それでデッキチェアに腰掛けた。ずいぶん久しぶりだった。外は生ぬるく、ビールは冷たく、深々と腰掛けて小説を読んで、10分くらいすると中に戻ってポテトをひっくり返すと再び外に出て、日が暮れていき、光が弱まっていき、すっかり暗くなると中に入って、オーブンはもう止まっていた。 出すとカリカリのフライドポテトができて、塩を振って、マヨネーズを皿に出した。居間のビーズクッションに沈んで、フライドポテトとビールと読書。ぐんぐん面白く、ノンストップに続いていって、でもそれはジェットの死が近づくということでもあった。死なないでくれないかな、という一縷の望みを持っていた。奇跡的に脳のその近くにある骨がどこかに行って、死なずに済む、そんな終わりになってくれないかな、という望みを持って読んでいて、まだ残りの厚みのある左側の紙の左端のほうを見て、このあたりで、大どんでん返しで死なないことになる、そういうことが起きないかな、と思いながら読んでいた。
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