
阿久津隆
@akttkc
2026年8月31日

エミリーに薔薇を
ウィリアム・フォークナー,
高橋正雄
読み終わった
「過去」はよくわからないまま終わって次は「デルタの秋」でこれもアイクおじさんの話というかこれがアイクおじさんの話で、秋に狩猟旅行に行く話でかつては馬車で行っていたところが車で行くようになって狩猟できる場所は減っていってだんだん奥へ奥へと変わっていった、そこにこの秋も行ってアイクおじさんはもう80歳とかだった。読んで、急ブレーキを踏んで「今年で最後だ、なぜならヒトラーがこの国を乗っ取ってそして狩猟を禁じるだろうから」と語る、不穏な空気を醸すエドモンズに「じゃあおじさんはほとんど八十年近くも生きてきて、自分がいっしょに生きてきたほかの人間どもについて、やっとそれだけのことしかわからなかったんだね。ひとつおじさんに聞きたいんだけど、まるで死んでいるように暮らしてきたその八十年近くのあいだ、おじさんはどこにいたんだね?」と言われたり、若者たちが夜明け前から狩猟に行ってアイクおじさんはテントに残ってそこにやってきた若い女に「あんたはあんまり長生きしすぎて、すっかりもうろくしたもんで、昔愛について知っていたり、感じたり、聞いたりしたことを、すっかり忘れちゃったようですね?」と言われたりする話だった。アイクおじさんも眠れないらしく、僕もそうなんですよ、と思いながら、全部読んで、すると短編集は終わって、アイクおじさんは「熊」の登場人物でもあるらしく、僕は「熊」はすごく好きな短編だったから、やっぱりまた読みたい気持ちになって、解説のあとは中上健次の講演がふたつあって、中上健次を読みたい気持ちにもなって、アイクおじさん同様に僕もまるで眠気を受け取ることができず、だから解説で読んでそういう話だったのかと思った「過去」をもう一度頭から読み始めて、賭けを決めるところ。
p.231
「五百ドルだな」とヒューバートさんがいった。「よし」
「よし」とバックおじさんがいった。
「よし」とヒューバートさんがいった。
「よし」とバックおじさんがいった。
ここ好き。