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@bunkobonsuki
2026年9月1日
魔法の石板
堀江敏幸
ジョルジュ・ペロスという詩人がいた。
孤独と交流の間に立つような人間関係を保ちながら、晩年に声を失い、それでも書き続けた男の一生涯。
堀江敏幸の筆致が、かの近代詩人の輪郭を浮き彫りにする。
本人、あるいは親類や友人による自伝は多いが、「後世それもまったく縁のない人間が書く他人伝」は細心の注意を払って書かなければならない。そうした本はえてして事実の立証に追われて無味乾燥なものになる。
本書は、「後世それもまったく縁のない人間が書く他人伝」でありながら読み物として美しい一冊である。
自分が好きな人について、これほど熱量を持ちながら、書いた十何年後にもなお追加で文章を書けるかというと、自信がない。
堀江敏幸は文体やインタビューを見るともの静かな人だけど、やっていることを追うと相当な熱血漢だと思う。
