
りんどう
@rindo-034
2026年9月1日
空色勾玉 〈新装版〉
荻原規子
読み終わった
読了。
生まれ持った使命に翻弄される、剣と鞘の物語。
「輝」と「闇」が争う世。「輝」の御子は「闇」を掃討し、大御神を降臨させることこそが悲願であり、「闇」の氏族はそれに抗っていた。
幼い頃に両親を亡くした少女・狭也は、両親を殺害したのは「輝」の御子であることと、自分が「闇」の巫女姫であることを知る。
「輝」に焦がれ、真実を受け入れられなかった狭也は、「輝」の御子に誘われるがまま、彼の采女となった。
しかし、それでもなお「輝」に染まることができなかった狭也は、「大蛇の剣」の持ち主・稚羽矢と出会い、共に「輝」の宮を飛び出して……。
まず、作者様の文章表現力が凄まじいと思いました。情景描写は勿論ですが、状況説明を湾曲的に、かつわかりやすく描写することが恐ろしく上手いと感じます。
「数日続いた高熱のうちに、慈悲深い大きな御手が、小さな子どものなめた苦しみを何もかもいっしょにぬぐい去ったのだった」
この一文に度肝を抜かれました。こんなにも無慈悲で残酷で、それでいて美しい言葉があるのかと。
中盤あたりから、登場人物へうまく感情移入することができなかった上、あまりにも呆気なく、意義もなく命が失われていく展開に心折れそうになりましたが、美しい文章に支えられて読了することができました。