"シモーヌ・ヴェイユ アンソロ..." 2025年4月5日

雨
@___amadare
2025年4月5日
シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー
シモーヌ・ヴェイユ アンソロジー
シモーヌ・ヴェイユ,
今村純子
"不幸よりも認識するのが難しいものはない。不幸はつねに神秘である。ギリシアの諺が述べているように、不幸は押し黙っている。不幸の真のニュアンスとその原因を掴むには、内面の分析に対する格別の心の準備がなければならない。だが概して、不幸な人の場合そうではない。たとえ心の準備ができている場合でも、不幸そのものが思考のこの働きを妨げてしまう。そして屈辱の効果はつねに、思考があえて踏み込むことのない立ち入り禁止ゾーンを作り上げてしまう。そのゾーンは沈黙か虚偽に覆われている。不幸な人が不平を述べるとき、ほぼつねに、自らの真の不幸には触れずに、事実とは異なる不平を述べ立てている。そしてさらに、深刻で延々と続く不幸の場合、きわめて強い差恥心が不平を述べ立てることを押し留めてしまう。こうして、人間における不幸の条件のひとつひとつが沈黙のゾーンを作ってしまい、あたかも島のなかにいるように、人間はそこに閉じ込められてしまう。"(工場生活の経験/p.96)
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