
RIYO BOOKS
@riyo_books
2024年4月13日

春にして君を離れ
アガサ・クリスティ,
中村妙子
読み終わった
実ある心の婚姻に、許すまじ、邪魔だては。
世は移り、人は変われど、まことの恋は
摘まれて朽つる花のごとく
はかなきものにあらざれば。
そはさながら天の一角に
嵐を下に見て、巌としてゆるがざる、
かの不動の星、荒波に揉まるる小舟の
変わりなき道しるべ、
いと高く輝きて、限りなきものを内に秘む。
まことの恋、そは時の道化にあらず
よし、あえかな唇、ばらのかんばせは、
時の利鎌の一振りにうつろうとも
恋はかりそめならずして
世のきわみまで恋うるなり。
変わらぬ恋は世になしと証しさるれば
わがすべての詩はむなしく
およそ人のすべての愛もまたむなし。
──ウィリアム・シェイクスピア「ソネット116」

