
sato
@sato_sa
2025年4月5日

蜜蜂と遠雷
恩田陸
かつて読んだ
長編で文庫だと上下巻あるのに、ページを捲る手が止まらずあっという間に読み切った。エンターテイメントってこういうことか…と読後しばらく放心状態になった。
ピアノコンクールのお話で、音楽をきっかけとした人間関係や成長の話なのかと思いきや、もちろんその要素もあるけれど、この小説の中心にあり、文章の大部分を占めるのはまさに音楽、ピアノから流れる音や曲そのもの。
音楽を文章で表現するという難しさを、この小説は軽々と飛び越えていく。読んでるこちらは脳内にピアノの曲が流し込まれるような感覚に陥る。しかも何曲も、何人もの演奏で、一つも似たような表現がない。鮮やかでキラキラしたピアノの音や、その場にいるような緊張感や静けさを体感できるような、そんな本。何年も前に読んだのにその感覚は今も簡単に思い起こすことができる。
朝井リョウさんがこの本は絶対直木賞取ると言っていて、本当にその後取っていたのが印象的。


