
紫香楽
@sgrk
2026年9月1日
ティファニーで朝食を
トルーマン・カポーティ,
村上春樹
読み終わった
思いの外よかった〜〜〜〜〜
表題作以外の短編もどれもよかった。
でも訳者あとがきの村上春樹氏が隙あらば自語りおじさんで申し訳ないですがややウザくて読後感が悪くなった。
自語り抜いてほしい。
生きる中で負う傷と、傷を負っても強く生きるホリーを初めとした人たちの姿と、カポーティからの「傷を負うことは惨めなことではない」という眼差しが優しかった。
それはそれとしてホリーの「いやったらしいアカ」は自身の傷に向き合わず、ないものとし続けていることによる歪みから発生していると思うので、カウンセリングや認知療法的な治療で根本的な対処をしない限り付き纏い続けると思う。
私は人間の傷を憐れなものだとは思わないのだが、世間一般的には憐れなものとする風潮があり、傷があると認めることで憐れな存在となってしまうことを避ける人は多い。ホリーのように気丈な人であるほど特に。
私からすると傷があることより傷を治さないことのほうが痛ましい。
傷のせいでホリーは人との誠実な向き合い方というものがわからない。
彼女の思う歪んだ「誠実さ」を続けることで世間一般的には不誠実な振る舞いを繰り返し、自身の猫を大事に思う気持ちも(逃してしまうまで)認識できず、主人公から向けられる愛や友情もそうと認識して受け取ることができない。
破天荒に見えたホリーの人柄が、生い立ちと考え方が語られていくにつれ説得力のある人間像になっていく造形力、描写力がすごかった。
悲惨さと、でもそれを本人は惨めだと思ってはいないしカポーティも惨めなものとはしていない、でも読み手としては「そんな人が現代(当時)にもいるんだ……、そうじゃない社会にしていきたい」と思わせる小説だったんだろうなと思った。
男性が女性に欲情するキモい描写が一切ないのもよかった。
どの話も良かったけど、個人的には「ダイアモンドのギター」が一番好きかな。「クリスマスの思い出」もよかったな〜
でも技巧的にはティファニーが圧倒的なんだよな。すごい小説だった
