イシイルカ "BUTTER" 2026年9月2日

BUTTER
BUTTER
柚木麻子
かなり随所で話題になっていたので手にとってみたけれど、読みすすめるうちに、想像していたような内容とは全く違う、予想外というか予想もしていなかったような話で正直驚いた。 人間の欲のうちの食欲、それも表題通りバターに対する執念とも言うべき欲望。 そしてその欲望にまつわる世の中の偏見や思い込みや既成概念やめんどくさい諸々。 自らの欲望に真っ直ぐ向き合って求道者のような対峙をする。欲望に常に忠実であろうとする生真面目さ。 お祭りの屋台などで「北海道じゃがバター」などと称してヤクザなマーガリンを食べて喜んでいるのを見て忸怩たる思いをずっとしてきたが、ホンモノを知る人は少なからずいる、というのは心強い。 テーマは生殖なのだろうか。結構長い長編なので、果たして作者が意図するテーマというものが何なのかというのがなかなか難しい。 後半、突然物語は急展開、文字通り予想もしてなかった急展開を遂げる。 拘置所内の容疑者、いや起訴されているので被告人か、彼女との、そして夫との関係と妊活に苦しむ親友との関係性が、急激に、そして極端に変化していく怒涛の展開。 結末へと収束していく過程は、なるほどこの事件を(現実に起きたあの事件を想起させる)そういうふうに昇華させるのだ、と納得。 性とか夫婦とか男女関係とか、そして父娘、母娘の関係性を、えげつなくえぐり取る。 すごい物語性。感服しました。 2025/10/26
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