はるのひ "べつの言葉で" 2026年9月2日

べつの言葉で
べつの言葉で
ジュンパ・ラヒリ,
中嶋浩郎
最後の「足場」もすごくよかった。読み終えて一番思うのは、ラヒリの視点が好きだなぁということ。その視点の中にはきっとイタリア語を介することで初めて認識/言語化できる部分もあるはずで、言語が人に与える作用は本当に面白いなと思う。 掌編「薄暗がり」もとても面白かった。 訳者あとがきに書かれていた、ラヒリの"わずかに調子のはずれた言葉の選択"を翻訳で伝えることの難しさもすごく分かる。 ラヒリ自身が「わたしには自分がイタリア語で書いたことを明快に見る能力がない」(P.120)と書いているように、やはり人が使う生きた言葉の細やかなニュアンスには母語でしか知覚し得ない領域というものが当然ある。それを外国語として大人になってから学び始めた人がどこまで体得できるのか、そしてそれがどれほど大変な労力を要することか…ラヒリがやろうとしていることの壮大さをひしひしと感じられる初エッセイだった。 そんなラヒリの2冊目のエッセイは彼女が翻訳について考えた「翻訳する私」。こちらも読むのが楽しみ。
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