鱗拾い
@urokohiroi
2026年9月2日
消滅世界
村田沙耶香
読み終わった
現実の常識から外れたものが読みたくて読んだ。
※以下ネタバレかつ長文
n十年前に現実の私たちの世界から分岐したパラレルワールドのような世界で、分岐前の価値観にも分岐後の価値観にも違和感を持ってしまう主人公の話
……かと思っていた時期が私にもありました!!!!
前半はまだ現実にも存在するテーマの反転だったり、逆に現実と重なるような部分もあるから、自分が自分の周りの世界に対して思っていることを刺激される形で色んな感想も思い浮かんでいたのだけど、
後半はもう諸々吹き飛んでしまって、どんどんわからない生き物になっていく主人公を目で追うことしかできなかった。
でも主人公本人もわりとそういう感覚だと思う。
前半を読んでるときに書き殴ったメモで
「一つの常識があるということは、それがどんな常識であっても、それと噛み合わない性(サガ)を持って苦しむ人がいるということなんだな」
というのがあって、これは明らかに主人公を眼差して書いたものなんだけど、まさかこれと似たようなことを最終的に主人公が別の人物に向かって言い放つとはな……。
移住してすぐは、主人公も母親みたいな、その世界での最後の旧人類みたいになっちゃうのかな、と思っていたから、ああなるのは意外だった。
あれだけ強固な一つの宗教に街ごと覆われてたら、迎合するのも楽なんだろうか。
「恋愛」と「発情」と「妊娠・出産・子供」が切り離された世界、というのは個人的には一つの理想ではあるのだけど……
最終的に「妊娠・出産・子供」が科学でできるようになって「みんなのもの」になったら、「恋愛」も「発情」も、「家族」すらも要らなくなる、みたいな部分については、そうかなぁ、と思った。
それって、結局みんなどこかでそれらを切り離せなかったってことなんじゃないのか。
次世代を産んで可愛がることが至上目的で、恋愛も発情も家族も、推しキャラを愛でることすらも、そのための代替可能な手段、あるいはその代償行為なのだとしたら……あんまり考えたくない。
あと産んで猫可愛がりすることが“全員参加”な実験都市がシンプルにディストピアすぎる。
(いや、強制的に産まされるのはともかく、普通に可愛がるぐらいは私だってできるならしたいが)
実験都市で生まれ育った「子供ちゃん」だったら、妊娠・出産も怖くなくて、次世代を可愛い可愛いと愛せるのかな。


