ずっさん
@to_love3939
2026年9月3日
舟を編む
三浦しをん
読み終わった
今から15年前の作品で、「赤外線通信」が出てくる。
作中で一冊の辞書が作られる期間とほぼ同じ年月が流れた結果、この言葉は現実で死語になってしまった。
辞書から消えた言葉として一時期話題にもなったから妙に印象に残っている。
本書でも書かれているが、言葉が生き物であることを実生活でも度々実感させられている。
常に変化する言葉の説明をするために、紙の辞書は必要なのか?と思わなくもない。
今やインターネットで簡単に調べられる時代だ。
手間と時間をかけなくても、ぱっと意味が説明される。
しかし、その説明は元々紙の辞書に載せられるべく考えられたものだ。
限られたページ数におさめるために、数多の人たちが悩み抜いた言葉だ。
そこにこそ宿る意味やものが確かにあると思う。
辞書が人の手によって言葉を取捨選択される以上、辞書に完成はない。
しかも一冊を仕上げた瞬間から、終わりのない辞書作りがまた始まっていく。
その苦悩が言葉を編み上げていくのだろうと思うと、これを書いている端末を一旦置いて、紙の辞書をひいてみようかと思えてくる。
有名な作品だといつでも買えるからとつい買うのを躊躇してしまうのだが、特別な装丁版が出ていて気になって購入した。
その買った本屋が間もなく閉店するということもあり、最後の思い出にという思いもあった。
ベストセラー故の約束された面白さが確かにあった。
辞書が出来上がる間に変化していくのは言葉だけではない。
ゆっくりと描かれる人間模様も魅力的な作品だった。




