
三井
@0047ab_reads
2026年9月3日
美しき監獄の方程式
和泉桂
読み終わった
最高。最近読んだ本の中で一番最高で好みの本だった。
大正時代の奈良監獄、それだけで好みの舞台だけど……
あまりに好きなのでネタバレばかりして感想書く。
作品の雰囲気もさることながら、メインのキャラたちが好みだった。主人公は世界を数字で見ているインテリ、コミュニケーション苦手、眼鏡で細身の元数学教師の弓削。副主人公が上背があって素直で愛嬌があるカメラアイ持ちの羽嶋。
正反対のふたりだけど、冤罪で奈良監獄に収容されたというところが共通していた。
受刑者同士、自由な会話が許された環境にない中でふたりが惹かれていって、唯一無二の存在になる過程が丁寧に描かれていて好きだった。
弓削が獄中でも“先生”って呼ばれてて(揶揄われもあるけど)、わたし多分医師や教師の文脈にない“先生”呼びに結構弱い人だって自覚した。
脱獄計画を立てるまでの心情の変化も獄中の人との関わりによって得られてきた変化で、それも丁寧に描かれていてよかった。
弓削ははじめ、羽嶋を娑婆に出してやりたいと思った。でも、羽嶋は弓削とふたりで脱出したいとまっすぐ訴えた。弓削が弓削らしい、弓削にしかできない方法で羽嶋と共に脱出を選んだこと、ふたりがこの獄中で、互いが互いを照らすような関係になれたこと、良すぎて何度天を仰いだか。
本当に弓削は頑張ってたな。
は〜大正時代の空気感を堪能して、脱獄計画にどきどきして、弓削と羽嶋の幸せを願ったよ、読み終えた今でも願ってるよ。
全てを失ったふたりが、ふたりで居続けられることが今の幸せなんじゃないかなとおもう。大正時代だからこそ、開拓団として正体を隠せる逃げ道があっていいな、と思った。大変な環境だし、弓削にとっては本当に高学歴を捨てて生きなければいけなくなったことも勿体無さとか感じてしまうけれど、人生でたった一回、苛烈な炎に人生を焼べるような時が来るような血は受け継いでいたんだね。
こんな作品が書けたらなあって思った。
そして、これを読んでさらに監獄ホテルに行きたくなった。
