sumotqn
@sumotqn
2026年9月3日
飛距離の長い青春
砂村かいり
読み終わった
間違いなく、今の自分に必要な物語だったと思う。
医学部を目指して有名予備校にて浪人生活を送る3人の男女を、それぞれの視点から描いた物語。
私の大学受験は、「私立文系一本で、浪人したくないから受かったところに入る」というものだったため、3人のバックボーンが新鮮でありながら、受験一つとっても人によってここまで重みが変わるものかと改めて実感した。
医学部を志す理由が異なる3人が、路上の人命救助をきっかけに親密になっていく様子は、紛れもなく青春そのものだったと思う。
それまで仲間をつくらず一匹狼のような状況だった3人が、お互いと出会い、交流していくことで少しずつ浪人生活のストレスが癒やされたらな、と読者でありながら保護者のような目線で読んでいる自分がいた。
特に睦に関しては、浪人を経て親元を離れた生活を送る中で、公私共にいわゆる大学生らしい生活を過ごしている状況で、「せっかく浪人したのに」「仕送りをもらって頑張っているのに」といった固定観念のようなものがあり続けるのが、睦のいいところではあるものの、苦しいよなあと思ってしまった。自分にいたはずの兄を今でも忘れずにいる気持ちは母親譲りの素敵なところではあるけれど、睦には睦の幸せな人生を送ってほしいなあ。
だからこそ、千浩と耕平には適応障害の診断が下って休学を検討していることを伝えられてよかったなと思った。私も適応障害と診断されたことはあるが、良くも悪くも周りに気を使わせてしまうことが怖くて、言い出せずにいたから、睦にとって千浩と耕平はそれを伝えられる存在なんだって改めて認識できて嬉しかった。
3人で予備校で過ごした時間は紛れもなくかけがえのない青春だったし、この先3人で過ごす時間も青春と言えるに違いない。
3人の人生がこの先どうなっていくか少し気になるけれども、千浩と睦と耕平の3人なら、きっと素敵な人生を歩めるに違いないと思っている。
とても素敵な物語に出会えてよかった!
感想という名の自語りになってしまった。