
ぽんぽこピッツァ2号店
@tamagodyeah
2026年9月3日

お嬢さん放浪記
犬養道子
読み終わった
読書記339
ドカーンと面白い。なにせ犬養道子がパワフルすぎて、あまりにも主人公すぎて、その人間的魅力に直球で喰らってしまった。
タイトルにもあるように、彼女の10年にわたる「放浪」は、彼女がお嬢さんであったから実現し得たものである。それは上から目線のブルジョワ的きまぐれかもしれないし、世間の感覚からはズレたところにあるかもしれないし、意地悪な見方ならいくらでもできるだろう。少なくとも彼女は、自らのやりたいことを選ぶ自由を持つ側の人間だった。
でも、彼女はそれをひけらかすでもなく、親のスネをかじるでもなく、ただただ目の前の人をカテゴライズせず、その人に向き合って、ぶつかって、困難を乗り越えていく。弱い立場の人を助けていく。そんな彼女の朗らかさに、言葉も国も宗教も超えて、多くの人が手を差し伸べたくなるのだ。
私もこんなふうに他者と向き合えたら。目の前のことに全力になれたなら。そう思わずにはいられない。
世界は犬養道子が旅立った1948年当時より、ずっと速く、複雑に、混沌としている。悪意も不信もずっと根深く人の心に染み付いて、放浪記に登場するような人々には、なかなか出会えないだろう。そのことが切なく思える。私もなにか、なにかしたいと、内なるエネルギーが沸き立つような読書体験だった。