ななり "風車と巨人" 2026年9月4日

風車と巨人
風車と巨人
岩井圭也
自分が真実だと思う発見の為に癌研究者は論文を捏造したのか?というのがこの小説のメインストーリーで、アカデミックな問題を核にしてはいるものの、この構造自体は世の中にかなり溢れていると思います。コロナ禍(後も)のSNS上で呟かれていたワクチンへの疑いを示す“証拠”とされていたもの、あるいは医学系に限らず今日もどこかで投稿されている気象や政治、もっといえば芸能界の真実の“証拠”。それらは外側から見れば単なる嘘でしかない。けれど彼らにはそれを示してまで世の中に見せなければならない自分が見ている真実と正義がある。タイトルになっている『ドン・キホーテ』の有名な一場面からもわかるように、私たちが思っているより彼らには悪意はないのかもしれない。ただその純粋さゆえに彼らがどこまでも頑なになるのだとすれば、陰謀論をはじめとする広義での真実を巡る議論を終わらせるのは不可能に近いほどの困難さがある。
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