
滋味
@jimicked
2026年9月4日
読み終わった
タイトルから想像していたものとはずいぶん違う、職場の人間関係に潜むモヤモヤや息苦しさを描いた作品でした。
特に印象に残ったのが、解説で一穂ミチさんが芦川さんのような存在を「ごまめ」と表現していたことです。私が育った地域では「お豆腐」と呼んでいた記憶があります。子どもの遊びの中で、年下だったり弱かったりする子を特別扱いする存在です。
弱い人を助けること、できない人を周囲が支えることは、本来なら優しさのはずです。しかし、その優しさによって誰かに負担が偏ったり、それに不満を感じること自体が許されないような空気が生まれたりもします。
この小説には、誰か一人を単純に悪者にしてしまえば解決するような分かりやすさがありません。それぞれの感情に理解できるところと、どうにも共感できないところがあり、その割り切れなさが最後まで残りました。
決して爽快な読後感ではありません。それでも、職場や人間関係の中で感じたことのある、うまく言葉にできない違和感を巧みに描いた作品でした。

