不安定 "鉄の胡蝶は" 2026年9月4日

鉄の胡蝶は
鉄の胡蝶は
保坂和志
だいいち弱肉強食というのは人間による造語でしかもこんなのは自然のごく一断面、むしろ自然の変調だ。自然をそのようなものと見る人間がもともと世界はそのようであると見たいだけだ、自分の生き方・やり方・願望を正当化するために「自然がそうだ」と、みんなが自然を知らないのをいいことに自然がそうであるかのように言う。 p.253より引用 ーーー 頭の片隅にピン留めしておきたい文章。 動物や植物の営みは必ずしも弱肉強食ではない。 それなのに「所詮世界は弱肉強食なんだから。だってそもそも自然がそうでしょ」と言いたがる人たちがいる。まるで逆らえないさだめであるかのように。でもそれは、そうであってほしいという彼らのさもしい世界観を反映しているだけなのだ。 そうやって逆らえないさだめを捏造する人たちが方便として使う言葉には「自然」の他に「伝統」があるよな、と思う。
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