DN/HP "夕陽の河岸(新潮文庫)" 2026年9月4日

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2026年9月4日
夕陽の河岸(新潮文庫)
安岡章太郎の「犬」と梅崎春生の「一時期」には同じ「あの頃」、つまり戦中、それも敗戦間近であり、二人の作家にとっては実質的な徴兵猶予期間の終わりが迫っている一時期が描かれていて、そこに通底している諦念も、やはり同じところからきているのだな、と乗り換え電車を待つホームで「犬」を読みながら気がついた。 その「一時期」というのは当然犬たちのLIFEにも逃れられない影響を与えたわけだけれど、それでも犬たちは生きることを諦めることはしないのだ。そんな犬たちの姿(というのはわたしの想像だけれど)を安岡が思い出し書くきっかけには、病によりもう犬と暮らすことは出来ない、という決定的な諦めがあるのだった。その重なり合って書かれる諦めと、思い出すこと自体も含めた何重もの哀しみを思うと、乗り込んだ急行列車のなかでこんな文章を書きながら、また、少し泣きたいと思ったのだった。
夕陽の河岸(新潮文庫)
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