ケイ "魔の山 上" 2026年9月4日

ケイ
ケイ
@flyingkei
2026年9月4日
魔の山 上
魔の山 上
トーマス・マン,
望月市恵,
関泰祐
488〜533ページ クリスマスを越え、ベルクホーフでの新年を迎えたカストルプ青年は、食堂や社交の場に降りてくることのできない重病患者たちを見舞うことに熱中する。同情心に対し返される感謝の快さもさることながら、カストルプ青年がこの山へ上がってきた当初から抱いている、病を高貴さ・尊敬と結びつけて定義づけようとする“実験採択”を実行することがこの行動の大本の動機であり、純粋な愛による行動ではない。 しかし、現実はカストルプ青年の期待に沿うものではなかった。病を得ても、死を間近にしてなお、人は俗っぽく愚かしく、単なる一個の人間でしかない。自らの慈善的行動に酔うカストルプ青年のまさに「平凡無垢」な単純さ、それを一歩引いて描写するトマス・マンの筆致の皮肉めいた軽妙さが好対照。
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