めい "ババヤガの夜 (河出文庫)" 2026年9月5日

めい
めい
@meiji_chan
2026年9月5日
ババヤガの夜 (河出文庫)
流行りに流行っていた時「ババヤガってなんだ?ジジヤガもあるのか?」くらいにしか思っていなかった。スラヴの伝承に登場する恐ろしい老婆のことらしい。ヤバいババアじゃん!似てる!外国語なのに!日本人初のダガー賞を受賞して文庫化されてようやく食指が伸びた。 ミステリじゃない。のに、ミステリ。映像化不可能系ミステリ。 あまりにも読みやすく、2時間かからずに読破(通勤電車の中でしか読まない)。どこからどう見てもミステリ小説ではない。映画で言えばノワール、漫画で言えば青年誌向け、早い話がヤクザもの。なのに、どこからどう見てもミステリの要素をここぞというところでドカンと使ってくる。まさに暴力的なまでに、後半で一気に畳み掛けてくる。『十角館の殺人』とか、『葉桜の季節に君を想うということ』とか、どんでん返し系ミステリ名著の重みでドカ、バキ、グシャ、と3連打くらいされる。しかもそれが「驚かせるためのどんでん返し」じゃなくて、ちゃんと主人公たちにとって必要な道筋になっている。あんまり言うとネタバレになるからよくないかもしれない。 冒頭から結末まで、暴力に次ぐ暴力、血、血、血。暴言、暴言、暴言。主人公は殴って蹴って食う。つよすぎる。刃牙のような女。そしてどの場面も体の動きやカメラワークまで瞬時に脳裏に浮かぶ。鮮やかでなめらか。文字がぎっしり書かれているのに、ONE PIECEとかBLEACHとかの戦闘シーン(大ゴマと効果音がメインの回)を読んでいるようなスピード感のアクションになって頭に入ってくる。これは一体どういうことなのか? そしてパワー系のシスターフッド。百合なんてもんじゃない、女同士の複雑なクソデカ感情とかでもない、ただ女と女であるだけで、ただそこにいるだけ。だけどそれこそが、愛だの恋だの憎しみだのよりずっとずっと強い関係になっている。人と人が深く強く寄り添うときって、実際にはこういう不可抗力めいたものがある気がする。愛や友情は後から生まれるんだ、きっと。 「こりゃダガー賞だわ」「厳密にはミステリではないと思うけど、そのへんのミステリよりはミステリだね」と偉そうに納得したけれど、柚木麻子さんの『BUTTER』といい、イギリスでは最近女性の解放やシスターフッドが流行りのテーマなのだろうか。大好物だけど。 1つネタバレをすると、犬は死にません。
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