サブレとポッポの往復書簡 "祝祭と予感" 2026年9月5日

祝祭と予感
『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ作品集です。本作の登場人物たちが様々な時間軸の、様々な場面で登場する物語が6つ、収められています。 このなかで、私が特に好きなお話は『鈴蘭と階段』かな。 亜夜の親友の奏が、パートナーとなるヴィオラとの出会いを描く物語で、楽器と自分との相性というのは、決して理屈や可視化できる要素だけで決められるものではなく、その音を聴いて、自分で実際に演奏してみて初めて『これっ!』と感じられるものなんだっていうことを読みながらしっかりと感じました。 恩田陸さんは、こうした場面の空気感を描写するのが本当に巧い作家さんだと思っています。 終わりのシーンで出てくる鈴蘭の花からは、無事ヴィオラに転向した未来にも、いずれ試練が訪れることを示唆するようなメッセージ性のようなものを、何となく感じ取りました。
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