
よろこびイサンディ
@yorocobi_isandy
2026年9月5日

読んでる
ひとかどの映画好きであれば、「ジャック・マイヨール」という名前を聞けば、『グラン・ブルー』なる往年の名作が想起されるのではないか。
かの映画を視聴した者は、たとえ如何なる情報が忘却に伏されようとも、あの深海の濃紺と、そこに表現される静謐は脳裏に焼き付いているのではないか。
本書は『グラン・ブルー』以後、名声をはせてのち、十年と経たぬうちに著者がジャック・マイヨールと過ごした時間について、書かれている。
文字が大きく、1ページあたりの文章が少ない点も相俟って、何か良質な詩を読んでいるような気分になる。
それは著者の名文と、それによって描かれる神秘的な題材の相乗効果であることに読者は気づくことになる。
本書は、先だって読了を迎えた、同じ著者による『ハワイイ紀行』で触れられていて、気になって購入した次第である。
『ハワイイ紀行』で帯びた読了後の熱を、まだ、思い出せる時分にあって、依然、半分にも満たないページを読み進めているに過ぎないが、読み終わるのが惜しい。
ジャック・マイヨールの代名詞である素潜りで、彼が100メートルの深海に到達してから、今年で50年が経つことに読み進める中で気づいた。
1976年、人類から前人未到が、また一つ、損なわれた。
ただ、果てしない宇宙へと人類の意識のベクトルが向くよりも、海やその下に向いているときの方が、何か安心できるのは僕だけの現象なのだろうか。
ずっと本書に滞在していたい気持ちも捨て切れぬが、早晩、読み終えることになるだろう。