
もりもと
@mori_11
2026年9月5日
送別の餃子
井口淳子
読み終わった
80〜90年代に中国の農村を旅して民族音楽や伝統芸能を研究した研究者のエッセイ。
当時の農村の暮らしや人々の様子がイラストと共に細かに記録されていてとても面白かったし、自分が少し前の中国のことを全然知らなかったんだなと思った。
現代のようにみんなが一定の価値観を共有したり遵法精神を持っている社会とは違って混沌とした農村で、外国人(著者)と現地の人々との交流は時に粗野だったり不条理なこともあったりもするのだけど、人々の素朴な温かさや人情深さも強く感じられて、一つ一つのエピソードにぐっとくるものがあった。
著者はまえがきやあとがきなど随所で中国の人々の「やさしさ」について書いている。中国語に日本語の「やさしい」に当たる言葉がないことから、それは日本で言うやさしさとはまた違うのだそうだけど、この本を読むとその感覚に触れることができるのではないかと思う。
あとがきから一部引用↓
「このやさしさとは、飾りのように見栄えのよいやさしさ、ことばだけのやさしさではなく、直截的で有無をいわさぬ「やさしさ」、つまり、人を救う、助けるという根源的な行為が放つやさしさだ。」