
もりもと
@mori_11
読むのは遅いが本が好き。
- 2026年8月21日
イン・ザ・メガチャーチ朝井リョウ読み終わったいろんな会話や情報が飛び交っている中を駆け抜けるように読んだ。噂に違わずすごい、面白かった。 私自身は推し活をしたことがないのだけど、ハブ駅に掲出されたアイドルの誕生日を祝うポスターとか、SNSのタグキャンペーンとか、普段なんとなく見かけていたものの後ろにいるファンダムの様子をありありと想像できた。 視点人物の一人である久保田を通して中年男性の生きづらさが細かく描かれているのも読み応えがある。 「おじさんはおばさんと違って友達と他愛もない話をしながらお茶したりしないのは何故だろうね」という話を友人としたばかりだったので、まさにそんな話が出てきてびっくり。 まだ消化しきれていなくて、あれはどんな意味だったんだろう?という部分があるので、度々出てきた言葉「視野」と「物語」について、これからも折に触れて考えていくだろう。 - 2026年8月17日
植物癒しと蟹の物語小林大輝読み終わった本の産直市で版元さんから購入した本。 街の植物たちの声を聞いてまわる「植物癒し」を仕事にしている主人公の物語。 主人公は夢と現実を行き来して植物や眠れる獅子や蟹と言葉を交わす。さまざまな比喩を通して「生きることの意味はあるのか」「生きるって何か」を考えさせられる。 全体的に静かな語り口の美しい物語だった。 あとがきによると、著者ががん闘病中の家族のいる友人に依頼されて書いた物語とのことで、友人ご家族にとってはこの物語が大きな癒しになったのではないかと思う。 蟹や獅子といった生き物が出てくるからか、宮沢賢治の童話のような印象も受けた。 - 2026年8月15日
- 2026年8月12日
縄文 革命とナショナリズム中島岳志読み終わった縄文に影響を受けた近現代日本の思想や芸術の流れを知ることができてとても面白かった。そして情報量が多くて読み応えあります。途中読んでも読んでも終わらない……とも思った。 「縄文時代」は発掘された遺物から考古学的に様々に生活の様子が解明されてはいるけれど、文字など人々の精神性を直接表すものが存在しないことから、後世の人々が様々なナラティブを付け加える余地があることがよくわかった。 特に第5章の太田竜氏の思想の遍歴を辿るくだりは、1人の人が縄文を起点にこんなにダイナミックに考えを変えていくことがあるのか、と驚きました。 そして、自分の生まれる少し前の歴史を知ると、子供の頃に訳が分からず見ていたものの存在理由が分かったり、現在起きているよく分からない現象への歴史的つながりを理解できたりするのが醍醐味だなとも思いました。 - 2026年7月16日
ぼくのがっかりした話セルジョ・トーファノ,橋本勝雄読み終わった本の産直市で版元さんから購入 100年ほど前のイタリアで子ども向け週刊誌に連載されていた物語。主人公が魔法の靴を手に入れて家出して旅に出るのだけど行く先々でがっかりする話、と聞いて「なんじゃそりゃ」と思いつつ読んでみました。 みんなが知ってる童話の登場人物のその後がユーモアや皮肉たっぷりに語られ、主人公は出会う事柄にがっかりさせられ続け成長したり成功したりもしない……ので気負わず読めます。 作品の時代背景は訳者あとがきに詳しく書かれていて、子どもの書物にも戦争プロパガンダが溢れていた時代にこのような作品は珍しかったようです。当時、週刊誌の片隅で展開されるナンセンスな物語を楽しみにしていた子どもがいたんだろうな〜と想像しました。 ちょっとした比喩とか、ディテールがユニークなのも読んでいて楽しかった。イタリアではお馴染みの表現なんだろうか…… 「パルミーロは、揚げ物にされるのを覚悟したタラみたいな哀しい目をしてぼくを見ると、〜」(p.68) 「足がセリモナ(硬質小麦の粉)のおかゆになったかのように、へにゃへにゃと崩れる気がした。」 (p.112) - 2026年7月4日
シェニール織とか黄肉のメロンとか江國香織読み終わったああ面白かった。 学生の頃からの気心知れた50代の女性3人を中心に、いろんな人の視点で語られる日常の物語。それぞれの小さな出来事の連続が立体的な世界を作り出していて、すっかり入り込んで読みました。 とにかく女たちの会話が楽しい。 恋愛体質で何事もドラマチックで大胆な理枝(いかにも江國作品の登場人物らしい、と思う)がふと発した 「結婚って、基本的に子供がすることでしょ」 とか、 夫に先立たれて娘と暮らしながらも好奇心旺盛で若々しい心持ちの高齢者、薫さんの心境を描いた 「生きている男性はいてほしくないときにもいるし、いてほしいときにはいなかったりするものだ。」 というところなど、 さすがだなーと思わされる一言に満ちていた。 解説で金原ひとみさんも書かれているけど、人生の少し先ゆく先輩である江國さんが物語を通じて中年女性たちに行くべき道を見せてくれるようで、頼もしくうれしかった。 - 2026年6月30日
今日も演じてます月と文社読み終わった日々の生活の中で「演じてる自分」がどんなものかをいろんな人が語るインタビュー集 自分自身も多かれ少なかれ、いつの時代も演じている顔はあるな、と思って読みました。 皆さんそれぞれに、家庭の中で、学校で、職場で、必要に迫られたり生存戦略として演じた経験を語られていて、「演じる自分」の捉え方もいろいろで面白かった。 「良き母」を演じる、の章で 「自分は演じてるときでも、嘘をついてはいないんです。うまく言えないけど、全部本当の私なんです。」(p.68) という言葉があり、私の思う「演じる」もそれに近いなあと腑に落ちました。 - 2026年6月23日
だれのせい?ダビデ・カリ,ヤマザキマリ,レジーナ・ルック-トゥーンペレ,レジーナ・ルックートゥーンペレ読み終わったイタリアの作家とエストニアのイラストレーターによる細やかな絵が魅力的な絵本。絵に惹かれて購入しましたが、物語の内容もシンプルながら示唆に富むもので、とても良かったです。 - 2026年5月29日
茶色の朝フランク・パヴロフ,ヴィンセント・ギャロ,藤本一勇,高橋哲哉読み終わったSNSで見かけて気になって読んでみたらすごい本だった。 市民の意向無視の法律やルールを押し付けられ続ける社会での人々の心の移り変わりがリアルに描かれている寓話。 不条理なルールになんか納得できないけど仕方ないのかな……と思っているうちに、 その都度モヤモヤを抱えるのも億劫になって、変に波風立てない方が楽かも……となり、 ルールを守って暮らしてるんだから大丈夫だよね……と変わっていく。 物語に続いて哲学者の高橋哲哉さんがメッセージ(解説のような文)を寄せているが、これは今の日本社会にもみられることだと強い危機感を持って書かれている。 そのご意見に全面的に同意しつつ、この本が出版されたのは2003年とのことで、20年以上前から警告を発している方がいらしたんだな、と恥ずかしながら驚きました。 - 2026年5月9日
百年と一日柴崎友香読み終わった柴崎さんの小説を初めて読むのでまずは文庫の短編を手に取りました。 あらすじのようなタイトルに続いて物語が数ページ展開される形式になっていて、タイトルはごく淡々としたものなのに本文を読むと物語のディテールがくっきりと頭の中に映像化される感じがして、文章表現の豊かさに驚きました。 柴崎さんの他の作品も読んでみたいです。 - 2026年5月3日
ふつうの人が小説家として生活していくには津村記久子読み終わった津村さんのインタビュー本。インタビュアーも文章を書かれる島田さんということもあり、文章表現に関する話や「こういうことを書きたいと思っている」といった書くときの考えも随所で知ることができて面白かった。 Day4で2000年代あたりのことをお二人が語られていて、情報環境の変化やアイドル文化の変遷が当時の若者に与えたであろう影響を語っていてるくだりがすごく納得感があったし、読めてよかった。 津村さんがこれまで書かれた小説でまだ読めていないものがあるので、また読んでみよう。 そのあとまたこの本を読むときっとさらに面白いと思う。 - 2026年4月27日
秘密の花園F・H・バーネット,堀内誠一,猪熊葉子読み終わった児童文学の古典をだいぶ大人になって初めて読みましたが、なにもかも素敵だった🌿 心に傷を負った子供たちが長年閉ざされた庭を手入れして甦らせることで自身も再生していく物語。最初は身近に感じられなかった遠い国の癖強な主人公を、読み進めるうちにすっかり好きになっちゃうのは児童文学あるあるなのか。久しぶりにこういう感覚を味わえて懐かしく、嬉しかった。 読んでいると『ハウルの動く城』を彷彿とさせるところがあり、やはりジブリ映画のベースには児童文学の影響あるんだな〜ということも感じられておもしろかった。 - 2026年3月26日
密航のち洗濯宋恵媛,望月優大,田川基成読み終わったドキュメンタリー作品にあまり触れてこなかったのだけど、膨大な情報の断片を一つの読み物にして届けてくれる、なんと尊い仕事かとしみじみ思った。 在日朝鮮人一世の尹紫遠氏の生涯を彼の日記や作品(小説や短歌)を元に辿りながら、ゆかりの地の取材や同時代の資料、家族の記憶を繋ぎ合わせて、朝鮮と日本の近現代を様々な角度から見ていく内容。情報量という面でも内容の壮絶さ度合いからもずっしりしたものを受け止めながら読みました。 - 2026年3月14日
まちは言葉でできている西本千尋読み終わったまちづくりをその過程で発せられる言葉に着目して語る内容がユニークな本でした。 まちが大資本によって定義されたり作り変えられたりする様子に衝撃を受けることが東京に住んでからしばしばあったので、 自分もかつて気になっていた開発事例がいくつか紹介されていて興味深く読みました。 最終章で著者が「まちづくりをしてきた側の人たち」のこれまでの言葉…成し遂げられるということ肯定し、貢献することや生産性を雄弁に語る… を批判を込めて振り返るところは熱が伝わってきて感情が揺さぶられました。 それはまちづくりだけでなく、人に対して「成功する」「活躍する」「輝く」ことこそ素晴らしい、とやんわり押し付けてくる世の中の風潮とリンクするようにも感じられました。 - 2026年2月28日
フィールドワークのちから奥野克巳読み終わった文化人類学関連のエッセイを読むのが好きなのだけど、自分は人類学を学んできたわけではないのでフィールドワークがどういうものか、調査する人と調査される人との関係性はどんなものなのか……といったことがうっすら気になっていたので、読めて良かった。 - 2026年2月21日
しょうゆさしの食いしん本おかわり(2)スケラッコ読み終わった近所の書店でスケラッコさんのサイン会が開催されていたので喜び勇んで買いに行きました。 実験的にあれこれ試しながらお料理する楽しさに溢れていて良かった。 鴨川沿いでバーナー焚いてサッポロ一番作って食べられるなんて羨ましい。寛大だな…鴨川👀 - 2026年2月5日
カラダは私の何なんだ?王谷晶読み終わったカラダや表情など女の外見にまつわる他人からの煩わしい目線に王谷さんがつっこんだり怒ったり、余計なコメントしてくる輩を呪ったりしながら、世の女性をエンパワメントするエッセイ。 以前王谷さんがラジオ出演してお話しされていたのがとても面白かったので、これはエッセイも読まなければ!と思い購入。期待を裏切らない面白さでした。 テンポの良い文章でうんざりする事象を斬っていく様が読んでいて可笑しいですが、笑い飛ばさないとやってらんねーよ!という状況が世の中にまだたくさんある、ということかもしれませんね。 - 2026年1月26日
サキの忘れ物(新潮文庫)津村記久子読み終わった津村さんらしい会話が楽しい話の他にもユニークな構成の話(ゲームブック風の話、観光案内人の語りだけで進む話、など)が散りばめられている短編集。 どの話も新鮮な気分で楽しく読みましたが、表題作の『サキの忘れ物』がやはり一番好きでした。 自分の意思も分からないままぼんやり生きていた18歳の女の子がたまたま出会った本を読むことで徐々に自分の欲求を取り戻し、本を読むのが好きな人と繋がったりと、ささやかにも変化していく様子がとても心に沁みました。 自分も10代の頃、本を読んでみたいけど何を読んだら良いか分からない……と迷っている時期があったので、その頃の心境が重なったのかもしれません。 - 2026年1月13日
著者の小林先生が以前ネット番組ポリタスでお話されていた内容が面白かったので購入しました。 男性表象の広告から「男らしさ」のイメージを冷静に分析していく様がさすがでした。 この本を読んでから電車で広告を目にすると、「お、デキる男広告だな」とか「背景高層ビルおじさんだ!」とか反応してしまいます… そして自分も無意識にいろんな規範を植え付けられていたんだなと気づきます。 後半の教育現場や医療現場でジェンダーの問題に取り組んでいる方々のインタビューもとても良かった。社会の意識を一度にひっくり返すことはできないけれど、いろんな場所でそれぞれが試行錯誤して、少しずつ自分や周りの意識を良い方に向かわせていくしかないんだなと思う内容でした。 - 2026年1月4日
ヤクザときどきピアノ 増補版鈴木智彦読み終わった52歳からピアノ習い始めるなんて大変そう、とつい思ってしまうけど、著者がピアノにまつわる様々なことをひとつひとつ発見して感動する様子を読んでいると、羨ましく思えてくる。 ピアノ講師のレイコ先生、みどり先生もステキな方達で、幸せなピアノとの出会い方だなと思った。 私も管楽器は演奏したことがあるので、楽曲の細部の美しさをつぶさに知ることができるのは演奏家の特権ではないか、という著者の指摘にはとても共感したのだけど、その文章がとても良かった。 「あなたが聴いて美しいと感じたその曲は、音楽的にいうなら、たくさんの美しさの集合なのだ。(中略)……どの一小節をとっても、そこには作曲家が見つけた宝石がはめ込まれている。」
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