
るり
@utatanest
2026年9月6日

半落ち
横山秀夫
読み終わった
幼い頃に父が観ている映画を隣で観た記憶があったけど、アルツハイマーの妻の首を絞めて殺した警察官が半落ちの状態で、みたいなのしか覚えてなかったので今回は小説で。オチの部分が映画と小説でちょっと違うみたい。
複数人の立場から、1人の人物の行動に迫るみたいな群像劇的構成。それぞれの立場とかプライドとか意地みたいなのとか、利権とかが描かれていて、その人たちの視線が梶という1人の男の行動とそれに内包された真実へ向かう。そんなに長くない小説とはいえ濃かった。
1番印象的だったのは、裁判官の藤林が、執行猶予なしとする主文をメモ用紙に書き殴ったところかも。彼自身の父もアルツハイマーで、介護を妻がしていて、みたいな境遇。義父の介護ってしんどいだろうな、そちらにめっちゃ感情移入してしまった。梶のことを「優しい」と評する自分の妻が、自分の父から「殺してほしい」と言われたことがあるという告白を受け、自分の妻を思いながら、「梶の行為が優しさだというのなら、優しさなどこの世になくていい。」と言い切る。言い切ることができたのは自分の妻のためでもあるだろうけど、自分が介護にコミットしていたら、それはそれで同じことを言えたんだろうかと少し思った。嘱託殺人って本当に相手から請われたとして、その相手が本当に大切な人だったとしたら、私はどうするだろうと考える。多分心中するんじゃないかな。だから、ドナーの登録が解除されるまでは生きるとして自首した梶の内情を考えながら私の情緒も大きくうねっていた。
殺人は間違っている、が、それでも、やはり、それだけでは割り切れない個々の事情というものもあるのだと思う。
白か黒かの話の中でずっとグレーを追いかけている感じだった。また読もう。