
霧
@yoruto
2026年9月6日
凍りのくじら
辻村深月
読み終わった
借りてきた
あらすじ
藤子・F・不二雄を「先生」と呼び、その作品を愛する父が失踪して5年。高校生の理帆子は、夏の図書館で「写真を撮らせてほしい」と言う1人の青年に出会う。戸惑いつつも、他とは違う内面を見せていく理帆子。そして同じ頃に始まった不思議な警告。皆が愛する素敵な“道具”が私たちを照らすときーー。
p300より、抜粋。
「どうしたら良かったと思う?」
別所が私に、静かな声で尋ねた。
「後でそれが実行できる目処がなくなり、逃げることもできなくなった彼は、壊す以外にどうしたら良かったと思う?」
「挫折しなくちゃ」
私の声が微かに震え始めた。何故、こんな声を私が出さなければならないのだろう。
「いつも、持病のせいとか、親のせいとか、自分の力ではない他のせいにしてきた。だけど、悪いのは自分だと認めなくちゃ。全部を自分の責任だと認めて、その上で自分に実力がないんだと、そう思って諦めなくちゃならない。精一杯、本当にギリギリのところまでやった人にしか、諦めることなんてできない。挫折って、だから本当はすごく難しい」
私は相変わらず別所の顔が見られない。同じ姿勢のままでいなければ、抑えていた感情が一気に溢れ出てきそうだった。
「私は彼に挫折して欲しかった」
