
彼らは読みつづけた
@findareading
2026年9月6日
百十三代目の司書見習い
スチュアート・ウィルソン,
児玉敦子
読み終わった
*本の中の読書*
《「ほんとうの人生? ほんとうの人生とな? 少年よ、おまえは本のことをただの夢物語のように語る。いったいだれがそんな考えをおまえの頭に植えつけたんだね? そんなのは学のない親がすることだ」
正確にいえば父さんだ。オリバーは思った。
ヒエロニムスは答えを待ってはいなかった。「フィクションには、目で見える以上に真実がこめられている。それから、哲学書、科学雑誌、取扱い説明書は文字どおり、われわれにほんとうの人生とはなにか、どうなりうるかを教えてくれるものだ」
「気を悪くしたのならごめんなさい」オリバーはいった。見習いの出だしから失敗してしまったとおそろしかった。ぼくはおとなしく皿洗いにでもなるべきだったんじゃないか。皿洗いのテントなんて召命の日にあったかな?
「気を悪くしているのは本だ、わしではない!」ヒエロニムスがいいかえした。》
— スチュアート・ウィルソン著/児玉敦子訳『百十三代目の司書見習い』(2025年11月、東京創元社)


