タケチ カツエ "春にして君を離れ" 2026年9月6日

春にして君を離れ
春にして君を離れ
アガサ・クリスティー,
中村妙子
 クリスティ作品としては異色と、ずっと昔から知っていたものの、単なるセンチメンタルな小説と思い込み手に取らずにいた。 何故か書店で読んでみようと手に取ったが、これはとても怖いミステリーだった。  クリスティの中では一番かもしれない。 なぜここまで意地悪いくらい、主人公ジョーンズを追い詰めたのか、クリスティ自身がかつての自分をジョーンズに見たからかもと推測した。  ジョーンズのような女性は今もいる、というか増えているような気がする。 自分の判断見方を一神教のように、かたくなに持ち続けて、決してその範疇から出ようとしない人。だからここまで追い詰めなくてもいいのにと思ったけれど、ありふれた人間近な人だからこそ、気をつけなさいあなたもそうかもしれない、気づいてないのかもしれないと、警告を発しているのかもしれない。  巻末の解説は栗本薫氏、彼女の夫がロドニーは嫌なヤツと評したと書かれていたことに、はっとした。たしかに、一番嫌な人はロドニーかもしれない。プアリトル、ジョーンズ。この本を読んでますますクリスティを好きになった。
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