ケイ "二月のつぎに七月が" 2026年9月7日

ケイ
ケイ
@flyingkei
2026年9月7日
二月のつぎに七月が
70〜109ページ いちば食堂を訪れる客が連れに語る床屋の話。丕出子さんが思い起こす父に聞かされた実家での餅つきの話。笛田さんが丕出子さんに語る飲み屋の客に聞いた左官の話。直接語られたのではない、ワンクッション置いて伝わってくるエピソードは、話者に詳細を尋ねたりその後について問うことのできない距離感ゆえに、独特の余韻とともに記憶に残る。又聞きの不確かさに、話者が聞き手としてフォーカスした部分のはっきりした輪郭が混ざり、それらが丕出子さんの中へさらさらと流れこんで、同じトーンのエピソード、同じアルバムの1ページのような色味になっていく。 戦うのでもなく、戦わぬのでもない、笛田さんの「とんがらない」という信条、その切っ先のまるさと、まるくとも切っ先を持って生きるという矜持が、時や環境に流されているようでいて確固たる意思のもとここに在るいちば食堂と、そこに集う人たちによく合う表現だなと思った。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved