ケイ "魔の山 上" 2026年9月7日

ケイ
ケイ
@flyingkei
2026年9月7日
魔の山 上
魔の山 上
トーマス・マン,
望月市恵,
関泰祐
上巻読了。ちなみに20年ぶり3回目の再読です。 533〜最終ページ ベルクホーフでのカーニバル(謝肉祭)、魔の山でのワルプルギスの夜。メフィストフェレスの誘いに乗ってマルガレーテと彼女を巡る煩悶のすべてから逃げ出したファウストとは対照的に、カストルプ青年は人文学者にして青年の教師役を自任するセテムブリーニの制止を振り払い、カーニバルの無礼講の中で、かつて憧れた同級生プリビスラウ少年と同じ眼差しを持つショーシャ夫人へ初めて声を掛ける。しかし、ショーシャ夫人は翌日にはベルクホーフを去ることを知り、カストルプ青年が自らの病(発熱)の原因と考える愛は行き場を失う。病んだ肉体への愛、愛の発露としての病に夢中になるあまり、従兄ヨーアヒムやセテムブリーニの病状の深刻さに心動かされる余地すら失っているカストルプ青年だが、その若々しさ、制御できない自己中心性に嫌味な印象はない。とは言え、そこに潜む病む有機体への強い執着、ショーシャ夫人の精神や人となりではなく有機物としてのその肉体に寄せる思慕は、魔の山に入り込んだ単純な青年が身体の変調だけでなく魂にも変調を来たそうとしている危うい兆候である。ショーシャ夫人が去ったベルクホーフで、カストルプ青年の変調がいかなる結末へ向かうか、再読なので知ってはいるけれど改めて楽しみにしたい。
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