傘野 "ファイア・ドーム(下)" 2026年8月10日

傘野
傘野
@amemoyou0831
2026年8月10日
ファイア・ドーム(下)
上巻は読むのが苦しかったのだけど、下巻になってずいぶんスムーズに読み進められた。それには桜木透真の存在が大きく、登場人物の、そして読者にとっての精神的支柱になっていたように感じた。 25年前の事件が徐々にあきらかになっていく訳だけれど、読者的には田村晋也くんの死の真相はうっすら予想できるので、その過程と結末を「見守る」物語という印象だった。これは2人の人間の死によって、その周囲の人間の人生がその後どれくらい壊れてしまったのか、という話なのでこの本の分厚さはその壊れてしまった人々の人生を整えるためにこれほどかかった、ということでもあるのだろう。 物語は少なくとも25年前の事件の当事者たちにとってはきれいなかたちで一区切りついてはいるが、巽直弘や本間の家族にとっては新たな「ファイア・ドーム」になるのではないか。なので実はほんとうに終わっているわけではなく、このラストは25年前の関係者たちがようやくこれから「部外者」になれた穏やかさでもあるのだと思った。
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