橘海月 "本屋さんのダイアナ(新潮文庫..." 2026年9月6日

橘海月
橘海月
@amaretto319
2026年9月6日
本屋さんのダイアナ(新潮文庫)
大穴と書いてダイアナと名付けられた少女、父はおらず母ティアラ(源氏名)は16歳でダイアナを産んだ…。 『今日もスープを用意して』を読み終えた後だけに、また母と娘の歪な関係性かと身構えたが、これは異なる環境のダイアナと彩子、正反対な二人の友情と成長の物語だった。 自己紹介が嫌な小3のダイアナは、転校先で彩子と出会い、初めて親友と呼べる存在と、彼女を通して憧れの家庭と出会う。逆に過保護なお嬢様育ちの彩子は、ダイアナとティアラに自由な世界を夢見る。それぞれを尊敬し憧れていた二人は、彩子の中学受験時期にすれ違い絶交してしまう。そこからの10年が長く苦しい。 どうしても変えられない自分の家庭や親への思い、互いに相手を羨み「自分がそうだったらいいのに」と思い焦がれる気持ち、そして本への想い。二人を結ぶ一冊の本や、ダイアナの書店への思いが重要だっただけに、甘くない現実に何度も心折れそうになった。特に彩子の大学生活は読み進めるのが辛かった。 でもだからこそ、その人の一部分だけを切り取って物語にできないのだなという著者の確固たる思いのようなものも感じた。うまくいってもいかなくとも、自暴自棄になっても格好悪くとも、彼女らは彼女らであり、たとえ理想でなくとも自らの道を切り開いてゆくのだと。そしてそれはこれからも続くのだと。 本歌取りになっている『赤毛のアン』シリーズと、その解説を含めて再読したくもなった。
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