じょるじゅ。 "あやかしの鼓" 2026年9月7日

あやかしの鼓
あやかしの鼓
夢野久作,
日下三蔵
もっともっと夢野久作作品を摂取したくなり、こちらも数日前から読み始めておりました。 なんだか読み終わるのが勿体無くて、少しずつ読み進めていたものの、結局引き込まれてしまい、あっという間に読了となりました。 探偵小説として最初に発表された「あやかしの鼓」から、「あやかしの鼓」を酷評していた江戸川乱歩が絶賛するまでになった「押絵の奇蹟」までの短・中篇を中心に収録されており、その怪異さもさることながら、全体的に人間の悍ましさ、冷酷さ、愚かさがより出ているように感じました。 本書収録作品での登場は少なかったのですが、夢野久作作品には現代でいうところの知的障害をもつ人たちが精神異常者と言われる立場として出てきます。が、実際にはその周囲を取り巻く「“普通の人間“と思い込んでいる健常者」の方が何倍も猟奇的で狂気に満ちている……という一種の皮肉を感じます(そこが好きなのですが)。 日本の探偵小説といえばお馴染み、江戸川乱歩も指摘しているように、最初のお話である「あやかしの鼓」は途中「ん?」となるところが正直ありました。そして、「これは探偵小説か?」という異論が出るのもまぁ致し方なしかな…という内容でしたが、個人的にはそのスピード感と艶かしさというか……主人公と一緒に目まぐるしく巻き込まれていく点も含めて好きな作品でした。個人的に能楽に興味があるので、随所に「おおっ!」となるところがあったのも大きいかもしれません。 そして、本書のラストを飾る「押絵の奇蹟」は、江戸川乱歩が絶賛するだけありまして、なんかもう胸がキュッとなるような……いっそ幽玄さを感じるお話でした。 ……ふと思ったのですが、押絵って今はどのくらいの知名度なんでしょうかね…?私は実家にたまたま立派な押絵羽子板があったのと、小学校でも簡単なものを作らされたのとで馴染みがあるのですが、今ってほとんど見かけないですもんね。 個人的に心に残ったのは、「空を飛ぶパラソル」ですかね。なんかもう…うん。とにかくいろんな人に読んでほしいと思いました。笑 対になっている『久の巻』も近いうちに読みたいと思います!本屋さんにこっちしかなかったんですよね…!
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved