村雨菊 "あやとりの記" 2026年9月8日

あやとりの記
あやとりの記
石牟礼道子
『椿の海の記』よりも物語としての体系がしっかりしていて、より自由に彼岸について物語られている印象があった。あとがきで『椿と海の記』が「最初考えていたよりは、違う方向へ筆が往ってしまったという思いがあって、もうひとつ円を、つまり少しずれた世界を描こうかな、という気になってしまった」というのを読んですごく納得がいった。 ただ、生きていく中での悲しみを経てこそ、人は「魂だけになる」ことができて、そうして初めて聴こえる世界があるという大切な点はやはり変わらない。切なくて美しい物語だった。
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