
村雨菊
@carameltomato
哲学科出身。子供への読み聞かせをきっかけに児童文学にはまっています。源実朝が好きなので、和歌や詩にも挑戦中。歴史小説も読みます。お勧めされたものは、とりあえず読む!
- 2026年4月6日
虚空の旅人上橋菜穂子,佐竹美保読み終わった人間の欲望や陰謀が張り巡らされた現実世界が徹底的に描かれているからこそ、チャグムたちと共に垣間見る恐ろしくも美しい精霊の世界に引き込まれる。それでもまた現実世界に戻っていく人間のあり方を物語と共に読者も体験している。 バルサに代わって少年チャグムが主人公になっているから、未来志向で爽やかなところがあって、子どもたちには親しみやすいのかもしれない。 - 2026年3月30日
魔女の宅急便 その6佐竹美保,角野栄子読み終わったついに読み終わってしまった。 色々ふっとばして、子どもたちが既に思春期のところから始まって驚いた。けど、モヤモヤを抱えながらも自分探しを始める子どもたちを通して、キキのこれまでを振り返り、まとめるという綺麗な最終巻だった。ジジがかっこよすぎる。 誰にでも魔法はあるんだよというメッセージを伝えてくれるトト君の存在が、すごく愛しく感じた。 - 2026年3月28日
歩くという哲学フレデリック・グロ,谷口亜沙子読み終わった歩くということについて、多角的に語られているエッセイなのだけど、「遅さを愉しむ」「自分を空いた状態にして、世界に対して開かれる」といった大切なテーマが、根底に流れているように感じた。 「いかにして充足した時間を過ごすか」という観点から見ると、『モモ』にも通じるものがあって好きだった。けど「時間が(…)ゆるやかに引き伸ばされる時には、空間にも深さが宿る」とあるように、時間だけにはおさまらないところが、この作品の面白さだと思う。 - 2026年3月23日
海底二万里 上 改版ジュール・ヴェルヌ,Jules Verne,石川湧読み終わった『遠い水平線』を翻訳した須賀敦子さんが、後書きでこの作品を引き合いに出していたので読んだ。 一体何を読まされているんだ?と戸惑いつつも、何だかんだで海底冒険に魅せられてしまうのは、まさに主人公と同じ心境。何とも不思議な読書体験だった。 海底の世界は、陸の世界からは隔たれた別世界のように思われる時もある。けど全く逆に、海底の世界を通して、生物、地理、世界史、文化というように、この世界をよく知ることができるようにも感じた。 ネモ船長は「もうふつうの人間ではなく、水の人、海の精」とも言われていたけど、彼の心が「地上とのつながりを断ち切ろうとする魂のすすりなき」をともなっている限り、やはり彼岸と此岸の中間にいる存在なのだろう。 読むのに時間かかるし、分からない用語も多くて、苦痛な部分も少なからずあったのに、別の翻訳でも読んでみたくなっている不思議。
- 2026年3月19日
夢の守り人上橋菜穂子,二木真希子読み終わった辛い現実を抱えきれずに、そのまま死んでも良いと、夢から目覚めなくなった人たち。それでも生きていこうと目覚める人間の強かさを、こんなに美しいファンタジーとして物語ることができるのか!と驚愕した。 呪術師は昼と夜の境目、この世とあの世の狭間にいる存在だと言うトロガイの話は、角野栄子さんの言う魔女と同じ。 その意味でファンタジーは、生と死の本質的な問いと相性が良いのだな。 - 2026年3月16日
闇の守り人上橋菜穂子,二木真希子読み終わったバルサが過去と向き合う本命の話が第二巻なんだね。 弔うということ、どうしても癒すことができないように思われる傷を癒すということが真剣に物語られていることに感動した。 文化人類学的教養に基づく色鮮やかな世界観。様々な登場人物と盛りだくさんな内容なのに、一切無駄がなくて、のめり込むように読んだ。 - 2026年3月11日
ムーミン谷の彗星 [新版]トーベ・ヤンソン,下村隆一,冨原眞弓,山室静読み終わった気になっていたムーミンを新版全集で読み出した! 結構な大冒険をするのね。 自分勝手でバラバラなようで、あるがままであることを許し合い、共に過ごしているキャラクターたち。底知れぬ恐ろしさを持ちながらも美しいムーミンの世界に癒された。 カバーのスベスベな質感やイラストの色彩が綺麗なので集めたくなっちゃう。 - 2026年3月10日
スピノザの世界上野修読み終わった最近読んだアントニオ・タブッキ『遠い水平線』、長田弘『世界はうつくしいと』にスピノザがでてきたので、読んでみた。 私を含む自然、世界丸ごと、システムそのものであるような神。「唯一である私が今ここに在る」という実感が、神の永遠性に繋がる歓び。自他時空を超えて、私や世界を肯定できる安息が文学者の心を掴むのかな。 - 2026年3月7日
イン・ザ・プール奥田英朗読み終わった年賀状をやりとりしている高校の頃の担任の先生に勧められて読んでみた。患者たちが抱える問題がかなりステレオタイプな気がするのだけど、本人は気づかず狂っていく心の描写はリアル。患者たちと正反対にいる存在としての伊良部のキャラクターや言い分が面白かった。 - 2026年3月6日
世界はうつくしいと長田弘読み終わっためぐりゆく季節の中で、目の前のありふれた光景からうつくしさを見いだす時、もうここにいなくなった人、ものの存在が間近に感じられていると言う。どうしても死から逃れることができない有限の存在である私たちが、充足した、幸福な時間、一日を過ごすための提案をしているようだった。 - 2026年3月3日
ぼくらの先生!はやみねかおる読み終わったはやみねかおるファンの息子が学校の図書室で借りてきて、「これはすごい名作だから読んでみて!」と勧められた。 教師を定年退職した主人公が、妻に当時の思い出を語る、という大人の哀愁漂う物語で、現役小学生の息子が気に入ったのが面白かった。 - 2026年3月3日
遠い水平線アントニオ・タブッキ,須賀敦子読み終わった『インド夜想曲』と須賀敦子さんが好きなので読んでみた。 身元不明の死者の正体を探るため、主人公がいくつかのヒントを元に、様々な場所を訪れていく。探している人と探されている人の境界が曖昧になり、現実なのか夢なのか、正気なのか狂気なのか分からない境地に読者も迷い込む。過去もテーマになっていると思う。 全体的には不思議なムードなのだけど、大枠のストーリーはしっかりとあるし、主人公が訪れる場所の描写はとても細かくて具体的なところが、この著者の特徴なんだろう。 - 2026年3月1日
哲学の原風景荻野弘之読み終わった『モモ』にでてくる星々の音楽って、ハルモニア・ムンディみたいだなと思って、 大学一年生の授業で読んだテキストを引っ張り出してきて読んだ。 ピタゴラス派の人々が宇宙や人の心を成り立たせる秩序として「数」を見出したところに、『モモ』は「時間」を当てはめているように思えた。 ソクラテス以前の古代の思想家たちの哲学の萌芽が、中世だけじゃなくて、近代、現代、今の私たちの哲学と繋がっているのが面白い。 - 2026年2月27日
モモ(絵本版)ミヒャエル・エンデ,シモーナ・チェッカレッリ,松永美穂読み終わった最近読み直したモモがあまりにも素晴らしかったので、絵本も購入。 ファンタジーとしての盛り上がりは後半だし、絵にしたら面白いシーンも後半は山ほどあるのだけど、 物語の本質が詰まっている前半で思い切ってぶった斬るという判断に恐れ入った。子どもに本当に伝えたい内容は前半にこそ描かれているし、強烈な後半のストーリーで見落とされがちな前半の美しいシーンがたっぷりと描かれているので、素晴らしい絵本化だと思う。 - 2026年2月25日
モモミヒャエル・エンデ,大島かおり読み終わった大学の課題で読んで以来、改めて読んでみたところ、めちゃくちゃ名作なことに今更驚く。メッセージ性が強い物語は説教臭くなる危険性を孕むと思うのだけど、ファンタジーとしての構造の強固さ、芸術性の高さが圧倒的で、物語に飲み込まれるようにして読んだ。 - 2026年2月23日
- 2026年2月22日
今を生きる思想 ショーペンハウアー 欲望にまみれた世界を生き抜くアルトゥール・ショーペンハウアー,梅田孝太読み終わったショーペンハウアーの「意志の否定」は完全に実現すると、食欲も自然となくなり餓死に至るという普通の人にはちょっと無理な境地になってしまうのだけど、そこを「処世の哲学」として誰でも実践しやすいレベルに落とし込んだのが晩年の著作だという解説が良かった。あらためて『余録と補遺』を読み直してみたくなった。 教養新書として分かりやすくまとめて書かれているけど、参考文献が本格的で、著作が生まれ受容されていった時代背景が丁寧に解説されていて、素晴らしい入門書だと思います! - 2026年2月20日
たゆたえども沈まず原田マハ読み終わった当時のパリ、画商として働く弟テオ、浮世絵を売る日本人という視点から描かれることで、真正面から向き合うにはあまりにもしんどいゴッホの生涯を読みやすく、楽しく読める。共に思い合い、深くつながり続けた兄弟の愛が強く胸を打った。 - 2026年2月16日
家守綺譚梨木香歩読み終わった素晴らしかった。大切な友をなくした主人公が、その友の実家に住まいながら、庭、自然、季節と交流する中で、あの世とこの世が交差していく。不思議で、切ない、大人ならでは幻想小説。 - 2026年2月8日
長い長いお医者さんの話カレル・チャペック,中野好夫読み終わった『プラハの古本屋』を読んで興味を持ち読んだ。軽やかですっとぼけているようなんだけど、物語ること自体を楽しむ狂気のようなものがあった。落語のような。チェコの日常と空想の世界が一体となっていて、これぞ民話なんだという寺村輝夫さんの解説にも納得。
読み込み中...
