
読書日和
@miou-books
2026年9月8日

絢爛の法
川越宗一
読み終わった
借りてきた
維新がなければ、世に出ることもなかった熊本の陪臣の三男・井上毅。肺を病むほどに学び、大久保利通や伊藤博文らに見出され、立憲政体の詔勅、大日本帝国憲法、教育勅語など、近代国家の礎となる言葉をつくっていく。
600ページを超える大作だけれど、通勤電車の行き帰りで一週間、あっという間に読み切った。井上毅を「こわし」と読むことすら今回初めて知ったくらい、まだまだ知らないことだらけ。
大久保利通、大隈重信、岩倉具視、星亨、牧野伸顕、森有礼……。いわゆる「明治の偉人」たちが次々と登場するのだけれど、みんな一筋縄ではいかない。正論を貫く人、鷹揚な人、名声を求める人、政治的な駆け引きに長けた人。それぞれの信条や思惑がぶつかり合いながら、日本のかたちがつくられていく。
明治になったからといって、そこから自然に近代日本ができあがったわけではない。大日本帝国憲法ひとつとっても、西洋のどの国をモデルにするのか、日本独自の国のかたちをどうつくるのか。政治的な駆け引きもあれば、それぞれの信条もある。たくさんの人が、ほとんど何もないところから試行錯誤しながら積み上げていった。(戦後呪われていく憲法なのだけれど、そうとも知らずに幸あれと願いながら産んだのだ)
誰に師事するか、誰に見出されるかで人生が大きく変わっていくのも面白い。
大隈重信が右脚を切断するほどの重傷を負ったり、牧野伸顕が父・大久保利通や上司の森有礼を暗殺で失ったり。華々しい歴史の裏側には、それぞれの人生があった。その時代を生きた人たちが積み上げたものの上に、今の私たちがいる。
今ある制度や社会も、最初からそこにあったものではなく、誰かが悩み、ぶつかり、考え抜いてつくったものなんだなぁと、少し違った目で今の日本を見るようになった。
フィクションとは分かっていても、こういう歴史小説はついつい入れ込んでしまう。
こんな熱い明治の志士たちの奮迅のおかげで今日の日本があると思うと、本当にありがたいこと。
大久保利通って、もっと日本の歴史や偉人として紹介されてもいいと思う。
年号や人名で覚えていた歴史が、一人ひとりの人生として立ち上がってくると、俄然おもしろくなる。