
ななり
@bluebook_mark
2026年9月8日

スナックふたり
川上弘美
読み終わった
スナックという場所は、お酒が飲める種々雑多なお店の中でもとりわけ“家(ホーム)”の感がつよいイメージがある。私自身は下戸なので一度も訪ねたことはないのだけれど、ドラマやバラエティで観る、そこで交わされるコミュニケーションは、家族と友達と元恋人のちょうど中間地点のような距離感で、いつも何だかとても心地よいものに映る。この世ならざる者がふらりと訪れ、生きている者の隣でグラスに満たされたビールやハイボールをなめるひと夜の、お客同士の営みの中で、読み手もまた一人のお客としてそこに居るかのような空気が漂ってくるのは、そんなスナックという空間だからこそ立ち上がる、温かでささやかな奇跡ではないだろうか。