宮子 "ツバキ文具店" 2025年4月5日

宮子
宮子
@miyako
2025年4月5日
ツバキ文具店
🕊️読了。鎌倉で文具店を営む代書屋の雨宮鳩子。お悔み状、離婚報告、バースデーカード、天国からの手紙———。今日も依頼人の想いを紙へと書き起こしていく。巡りゆく季節の中で、仲違いしたまま亡くなった先代である祖母からの想いにも気がついていく。  実際のところと異なる部分もあるだろうが、今回も自分の知らない職業を垣間見ることができて面白かった。ご祝儀袋や賞状を代筆するくらいのイメージだったので、手紙の内容まで考えている場面が多く驚いた。書き上げた文面が載っているのでわかりやすいし、手紙によって字の雰囲気も様々で面白い。一番好きなのは借金の謝絶状(依頼人である男爵の話し方は正直苦手だけど……)。  情景描写に長けており、鎌倉は紫陽花寺へ一度行った程度にもかかわらず場面場面を豊かに想像することができて楽しかった。度々出てくるお湯を沸かしお茶を淹れる鳩子の描写がとても好き。  お仕事本というより代書を通して鳩子が先代への確執を解いていくお話だとわかってはいるが、最後に恋愛描写が出てきてうーーんとなってしまった。働きながら己のみで生きる女性はだめなのかなぁ。力強くてものんびりしていても。まぁ世の大多数の女性は恋愛したいものか。※三作目の『椿ノ恋文』は鳩子の結婚後のお話らしい  『ツバキ文具店』は続編の『キラキラ共和国』と合わせてかなり前に購入していたのだが、読んでいるときにページの間から二◯二三年選挙の投票済証が出てきて、なんとなく過去の自分からの手紙のようでふふっとなった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved