

宮子
@miyako
📝小説の読書感想アカウント
好きな作家:三浦しをん
お気に入りの小説:
三浦しをん『きみはポラリス』『愛なき世界』
梨木香歩『西の魔女が死んだ』
よく読むジャンルなど:日常/友情/
ロマンシス/ハッピーエンド/温かな話
アイコン:けけ さん(フリーアイコン)
- 2025年4月30日ライオンのおやつ小川糸読み終わった🍋読了。三十三歳にて余命宣告を受ける雫は、残されたわずかな日々を瀬戸内海の島にあるホスピス「ライオンの家」で過ごすことに決める。穏やかな毎日を送るなか、死ぬことと生きることについて考えていく。 ホスピスが舞台なので当然だが、和やかな環境とはいえ登場人物が次々に亡くなっていく。凹む。勿論私は死んだことがないのでどこまでが本当でどこまでがファンタジーかはわからないけれど、死者が次々に出てくるところが私の死生観と合わず個人的にあまり刺さらないお話だった。自身に死が近付いたときに読んだらまた受け止め方も変わるかも? あと母は出てきたのに実の父の霊体が出てこないのが気になってしまった。育ての父に気を遣ったのかな。 「ライオンの家」ではもう一度食べたいおやつを作っているが、私が最期に食べたいおやつは何だろう。チョコレートが好きだからチョコケーキ、くらいしか思い付かない。特にこれといった思い出が無い……。まぁこれもひとつの人生だろう。多分。
- 2025年4月27日天国はまだ遠く瀬尾まいこ読み終わった⛰️読了。仕事に疲れた二十三歳の千鶴は死ぬことを決意し、行き着いた山奥の民宿で自殺を図るも失敗。民宿のオーナー・田村と集落の大自然の中で過ごし、再出発をするまでのお話。 「転職すればいいのでは?」と思ったが、仕事がとても辛いときは私にもあるし、千鶴より若い頃に一度だけもうどうしようもないお先真っ暗だ……と絶望して死のうと考えたこともあるし(勿論人生どうにもならないことなんてあまりないのだが)、読み進めるとフロッピーという単語が出てきて自分が想定しているよりも過去のお話なのかなと感じた。それなら転職も今と違ってまだ珍しいだろうし、作中で出てくる携帯電話もスマホじゃなくてガラケーな気がする。 個人的に好きなところは久秋に宛てた手紙のシーン。こっそり民宿の住所がわかるようにする田村と、「何かあったのかな」で遠くまで訪ねに来る久秋の人間性が良い。あと「あ、メールって言うのは、通信手段の一種で、携帯電話に打った文字が……」「知っとるわ」からの「手紙?」「そう。紙に文章書いて、切手貼ったら郵便局のおっさんが届けてくれるやつ」「それくらい知ってます」の応酬に笑った。 私の実家も田舎なのでわかるのだが、「長男だから」で人生の道筋が決まってしまうのは悲しいなと思う。自分は自分であって他の誰でもないのに。私は突っぱねられたが家族仲が良いというのも良いことばかりではないのだなぁ。いや良いに越したことはないけども。田村が地元へ戻ってきたからこそひとりの命が救われたのだということが救いになっていればいいな。
- 2025年4月25日ほかに誰がいる朝倉かすみ買った📚他合わせて9冊購入。予算10,000円で片手で持てる分だけ買っていい縛り。税込6,667円。惜しい。 「今まで読んだ中で一番感動した本は?」というツイートに寄せられていたタイトルだったり、出版社のフェアで特設コーナーに置いてあったりな本のチョイス。今年のGW休暇は短いけど何冊か読みたいな。
- 2025年4月25日星の王子さまサン=テグジュペリ,A.de,内藤濯読み終わったかつて読んだ心に残る一節お気に入り"おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)"(P.7) "「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ……」と、王子さまがいいました。 とつぜん、ぼくは、砂がそんなふうに、ふしぎに光るわけがわかっておどろきました。ほんの子どもだったころ、ぼくは、ある古い家(うち)に住んでいたのですが、その家には、なにか宝が埋められているという、いいつたえがありました。もちろん、だれもまだ、その宝を発見したこともありませんし、それをさがそうとした人もないようです。でも、家じゅうが、その宝で、美しい魔法にかかっているようでした。ぼくの家には、そのおくに、一つの秘密をかくしていたのです…… 「そうだよ、家でも星でも砂漠でも、その美しいところは、目に見えないのさ」"(P.150) "「夜になったら、星をながめておくれよ。ぼくんちは、とてもちっぽけだから、どこにぼくの星があるのか、きみに見せるわけにはいかないんだ。だけど、そのほうがいいよ。きみは、ぼくの星を、星のうちの、どれか一つだと思ってながめるからね。すると、きみは、どの星も、ながめるのがすきになるよ。星がみんな、きみの友だちになるわけさ」"(P.171) 再読。『星の王子さま』という日本語タイトルを付けた内藤濯訳のサン=テグジュペリ『Le Petit Prince』(小さな王子)。砂漠に不時着した飛行士「ぼく」の、遠くの星からやってきた王子さまとの出会いと別れの物語。 初めて読んだのは二十歳前後だったと思うが、献辞の"おとなは、だれも、はじめは子どもだった。(しかし、そのことを忘れずにいるおとなは、いくらもいない。)"がずっと心に残っている。その通りだと思うし、いつまでも忘れずにいたい。 王子さまとのお別れシーンは何度読んでも寂しくなるが、王子さまと出会い仲よくなったからこそ、「ぼく」にとって星をながめることが特別になったのだなと思う。いつか私にもたいせつな存在との別れがやってくるが、そのときのことを考えると涙が出そうになる。キツネにとっての麦ばたけや「ぼく」にとっての夜空の星のように、喪失の悲しみを乗り越えたいせつなものになることを願う。
- 2025年4月20日天国旅行三浦しをん読み終わったかつて読んだ🚃再読。心中をテーマにした三浦しをんの短編小説集。 三浦しをんの短編小説集は『きみはポラリス』が好きで何度も読み返しているが、恋愛が主題のあちらと違い『天国旅行』は死ぬことを扱うため、必然的に暗い話が多い。明るい物語が好きなので、今回はかなり久しぶりに全収録作品を再読した。 一番好きな作品は『初盆の客』。祖母の初盆にやってきた見知らぬ男から語られる、秘められた不思議な過去のお話。こういう明るく不可思議なストーリーはわくわくするので、『初盆の客』だけは結構読み返すことが多い。ウメおばあさんが最期にとった行動も物語のオチも好き。 すっかり忘れていたのだが、最後の解説ページを読んで「言われてみれば……」と思い、『遺言』をまたすぐに読み返した。確かに解説の通り、その描写が一切ないのである。読み返したときに一周目とは異なる脳内イメージになることもあるのが小説の面白いところだ。それはそれとして、著者はどう想定していたのかを教えてほしい気持ちもちょっとある。『森の奥』の青木くんはあのあとどこへ向かったのかとか、『炎』の立木先輩や初音の心中(しんちゅう)とか。
- 2025年4月14日愛なき世界(下)三浦しをん読み終わったかつて読んだお気に入り🌱再読。『愛なき世界』文庫版上巻の続き。すっかり松田研究室の顔馴染みとなった洋食屋見習い・藤丸と、そんな藤丸が恋する植物一筋な院生・本村。本村の実験の失敗も成功もそばで見届けた、藤丸の恋の行方は———。 長編小説かつ理系分野がさっぱりのため気軽に再読できていなかったのだが、読み返してやっぱり『愛なき世界』は私の好きな恋愛小説だなと感じた。五本の指に入る恋愛作品かも。本村の大事な子葉をデカパイ呼びする部分はあるものの(最終的に本村もそう呼んでいるが)、藤丸が本村を尊重しているからこそ、当初は研究モードになったら藤丸のことなど頭から消えていた本村が、実験中に藤丸を連想するまでになったんだろうなぁと思う。以前藤丸が本村さんは今こう思っているんだろうなと考えたシーンがあったが、後半で本村も藤丸さんは今こう考えているんだろうと思った描写が出てきて、お互い何を考えているかわかるようになるほど親しくなれたのだなと微笑ましくなった。 研究室の個性豊かな面々も好き。実験でとんでもないミスをしてしまいこのまま継続するかやり直すかを悩む本村に、指導者であり研究者でもある松田がかける言葉が良い。春になり家庭菜園でハーブを育てようと思っているので、緑の指を持つ加藤くんにも手伝ってほしいところ。あと多肉植物やサボテンも気になっているので色々と教えてほしい。 世の中の何かを解明するわけでもなく日々勤労と納税の義務をこなすくらいの私だが、本村の真っ直ぐに植物を愛するさまを読むと勇気のようなものをもらえる。私も私の好きを最後まで貫き通したい。
- 2025年4月13日愛なき世界(上)三浦しをん読み終わったかつて読んだお気に入り🌱再読。洋食屋「円服亭」で見習い料理人として働く藤丸が恋に落ちたのは、恋愛に一切興味無しの植物を愛する大学院生・本村だった。思考も感情も持たない"愛なき世界"に生きる植物に魅入られる本村を、藤丸は振り向かせることができるのか———!? ハードカバーは実家に置いてあるため文庫版の上下巻を新たに購入。当時ポップか何かのあらすじを見て藤丸と本村の性別を逆に想定し、読み始めて自身の持つステレオタイプ像に気付き反省したのも今では懐かしい。 年数を経て読み直すと藤丸の突拍子のないタイミングでの告白に若いなぁと思ったり、本村の母が娘へ結婚について言及するところで(学費の問題は置いておいて)血の繋がった子であろうと他人の人生なのだから……とちょっとムッとしたり。本村の「知りたい」の衝動を見て、人類の中のこういう欲求を持つ人々によってこの世のわからないことが解明されて、また新しい発見が生まれるのだなと思う。 最後に『愛なき世界』を読んだのはもう随分と前なので、そうそうこんなだったなーと思いながら読んだ。細かいところは忘れてしまっているので、少し初見に近いように読めていて楽しい。このまま下巻も読み進めていく。
- 2025年4月11日団地のふたり藤野千夜読み終わった🥬読了。築六十年の団地で暮らす、五十代を迎えた奈津子と幼馴染のノエチこと野枝ののんびりとした日々を綴った物語。 こういう穏やかな生活を覗くお話好き。住んでいる棟は別々で互いの部屋を行き来するという、四六時中一緒にいるわけではない程良い距離感の友情なのも良い。私が五十代になる頃はどうなっているかわからないけど、こういう歳の取り方もいいものだなぁ。 特に大事件が起きるわけでもなく(喧嘩はたまーにするけれど仲直りのタイミングもわかっている)、安心して読むことができた。お話も短めであっさりと読めるので、人間関係のもつれた長編小説読破後とかに読みたい。続編の『また団地のふたり』が去年の秋に発売されているようなので手に取ってみようと思う。実写ドラマにもなっているみたいなのでそっちも見てみようかな。
- 2025年4月10日木曜日にはココアを青山美智子読み終わった🇦🇺読了。ある喫茶店を通し登場人物たちが繋がっていく十二のお話。 一言で言うとnot for me作品だった。本や読書のどういうところが好きかは一人ひとり異なると思うが、私は想像力をかき立てられる情景描写を読むのが好きだ。風景だけではなく、時には温度や空気、匂いまでも感じさせ、まるで自分もその世界にいるかのような没入感をくれる。この本は地の文(情景描写)があまり無く主に台詞と登場人物のモノローグで話が進むため、台本を読んでいるように感じてしまった。 内容に関しても話が出来すぎているというか、事実は小説よりも奇なりというけれど、でもこれはフィクションの本だし……世間があまりにも狭すぎる……と頭をぐるぐるさせなから読んだ。十年以上文通を続けた大切な友人がいても、ぽっと出の異性との恋愛オチになってしまうのかと少ししょんぼり。既婚者や十五歳も年下の相手を好きになったり、初対面の異性に頭を撫でられたり額にキスされたり(そういう描写ではないとわかってはいるが、それなら性別不詳でもよかったのでは? と思う)、自身の価値観とは相容れない部分も多かった。 せっかくなら木曜日にじっくり読もうとわくわくしていたものの自分には合わなかったという結果だったが、高校生の頃に図書室でタイトルや表紙に惹かれた本を片っ端から借りて読んだことを思い出した。自分の琴線に触れる本にはなかなか出会えず、面白かったと思えたのはたったの二冊だった。たくさん本を読むとはそういうことかもしれない。これだと思える本に巡り合うため、これからもたくさんの本を読んでいきたい。
- 2025年4月8日キラキラ共和国小川糸読み終わった🕊️読了。『ツバキ文具店』の続編。結婚し家族が増えた雨宮鳩子改め守景鳩子の代書屋生活。 読んでいる間は前妻の心境ばかりを考えてしまった。名字を変え、夫と娘との幸せな日々が突然終わり、いつかお店を開こうと約束した地で夫が別の女性と再婚し、今では自分の故郷や血の繋がった家族から遠く離れた土地(おそらく)のお墓に眠る美雪さん……。フィクションだというのは置いておいて、死人に口無しだし育ってきた環境もわからないから当人がどう感じるのかはわからないけど。私だったら血の繋がらない我が子を慈しみ、子持ちである夫と再婚してくれた鳩子さんには感謝すると思うけど夫には謝りつつも一言物申したくなるかもしれない……。私が『春太の毎日』の春太のような大きくて深い愛を持てるのはまだまだ先のようだ。 代書に関しては離縁状のやり取りに思わず笑ってしまった。最終的にどう着地したのだろうか。依頼人の中では「やすなりさん」を愛する富士額さんに共感するが、結婚せずに心に決めた相手を愛し続けてきた人生を、暗いもの、寂しいものだとは思わないでほしいなと思った。令和の今ではそういう人もきっと増えていますよ。 私自身大人になった今でも自分の母親が嫌いなので、先代の愛を感じてあげられる鳩子は偉いしすごいなと思う。私だったら当時の相手の内面を知ったとてカーネーションのくだりは一生許してあげられない……。 恋愛小説や親視点の家族小説にはあまり興味がないが、ここまで来たら鳩子の行く末を見届けるか? という気持ちにもなってきた。そのうち三作目の『椿ノ恋文』も読もうと思う。
- 2025年4月6日きみはポラリス三浦しをん読み終わったかつて読んだ何度でも読みたいお気に入り🌸快晴だったので近所の公園でお花見をしながらのんびり再読。三浦しをんの最強恋愛短編集。 日頃は恋愛小説を進んで読まないが、高校生の頃にタイトルに惹かれ図書室で手に取ったあの日から大好きな一冊。中でも飛び抜けて大好きな『春太の毎日』はちょうど桜の季節からお話が始まるので、桜の咲く暖かな日差しの下で読むと臨場感が増した。わたし的・この世に存在するあらゆる恋愛作品の中でナンバーワンがこの『春太の毎日』である。読み返すたびに心がぽかぽかする。※ちなみにナンバーツーが『今夜、ロマンス劇場で』(映画)ナンバースリーが『秒速5センチメートル』(アニメ映画) せっかくなので普段はあまり読み返さない『優雅な生活』『森を歩く』も併せて再読。収録作品の中ではわかりやすく? 平和なハッピーエンドなので安心して読むことができる(全部読んでいるので当然オチはわかっているけども)。 他収録小説は『永遠に完成しない二通の手紙』『裏切らないこと』『私たちがしたこと』『永遠につづく手紙の最初の一文』が好き。どれも短くて読みやすいのもあり、おすすめの一冊。
- 2025年4月5日ツバキ文具店小川糸読み終わった🕊️読了。鎌倉で文具店を営む代書屋の雨宮鳩子。お悔み状、離婚報告、バースデーカード、天国からの手紙———。今日も依頼人の想いを紙へと書き起こしていく。巡りゆく季節の中で、仲違いしたまま亡くなった先代である祖母からの想いにも気がついていく。 実際のところと異なる部分もあるだろうが、今回も自分の知らない職業を垣間見ることができて面白かった。ご祝儀袋や賞状を代筆するくらいのイメージだったので、手紙の内容まで考えている場面が多く驚いた。書き上げた文面が載っているのでわかりやすいし、手紙によって字の雰囲気も様々で面白い。一番好きなのは借金の謝絶状(依頼人である男爵の話し方は正直苦手だけど……)。 情景描写に長けており、鎌倉は紫陽花寺へ一度行った程度にもかかわらず場面場面を豊かに想像することができて楽しかった。度々出てくるお湯を沸かしお茶を淹れる鳩子の描写がとても好き。 お仕事本というより代書を通して鳩子が先代への確執を解いていくお話だとわかってはいるが、最後に恋愛描写が出てきてうーーんとなってしまった。働きながら己のみで生きる女性はだめなのかなぁ。力強くてものんびりしていても。まぁ世の大多数の女性は恋愛したいものか。※三作目の『椿ノ恋文』は鳩子の結婚後のお話らしい 『ツバキ文具店』は続編の『キラキラ共和国』と合わせてかなり前に購入していたのだが、読んでいるときにページの間から二◯二三年選挙の投票済証が出てきて、なんとなく過去の自分からの手紙のようでふふっとなった。
- 2025年4月2日本屋さんのダイアナ柚木麻子読み終わった🌳読了。キャバクラに勤めるシングルマザーの一人娘・大穴(ダイアナ)。自身の名前も母に染められた金髪も大嫌いだったが、小学三年生で出会った彩子はそんな自分を肯定してくれる。正反対の家庭環境で育つ本好きの二人はすぐに親友同士になるが、中学へ進学する直前に仲違いしてしまう。 ガール・ミーツ・ガール作品が好きなので楽しく読むことができた。十五歳になりダイアナが改名しようとするシーンはグッと来る。ダイアナの父親探しや、読んでいる途中は「えー?」と思った描写も読み進めると色々な事実が判明して面白い。フィクションとわかっていても、まだ子どもの彩子に降り掛かる惨い描写は読むのが辛くなってしまった……。それでも大好きな物語とそのヒロイン、思い出を胸に立ち上がるシーンは涙ぐんだ。成長してもずっと心に寄り添い続ける物語っていいものだなぁ。 随所で少女小説の引用があり、彩子の「『赤毛のアン』って知ってる? アンの親友はダイアナって言うんだよ」の台詞で昔読んだ『赤毛のアン』を再読したくなった。『赤毛のアン』を読み直したら『本屋さんのダイアナ』も読み直したい。
- 2025年3月23日月魚カウベルデザイン,三浦しをん読み終わった📙読了。古書界隈で名の知られた祖父を持つ、古書店『無窮堂』三代目・本田真志喜と、その祖父に才能を見出された元せどり屋の父を持つ卸専門の古本屋・瀬名垣太一。幼い時を共に過ごす二人だったが、とある古書を手に取った瀬名垣によりその日々は一転してしまい———。 本はいつも書店で新しいものを購入しており、古本=かつて誰かの手元にあった本、くらいの大雑把なイメージしかなかったのでまたひとつ新たな世界を知ることができた。「図書館に入ってしまったら、本は死んでしまう。流通の経路に乗って、欲しい人の間を渡り歩ける本を、生きている本と呼ぶんだ」「図書館にまとめて寄贈? とんでもないわ。そのまま永遠に動かされず、暗い書庫の奥で朽ち果てていけというの?」という作中の言葉になるほどなぁと思った。 仕事や職業を取り扱った作品に恋愛要素を入れないでほしいタイプなのだが、『月魚』はすんなり読むことができた。わかりやすく恋愛していないからかな? 同著書の『舟を編む』も読めるかな。 あと私も自身の本棚にある本たちを愛し生かそうと思い、とりあえず積読している本を読み進めることを決めた。
- 2025年3月19日きらきらひかる江國香織読み終わった🥃読了。アルコール依存症で精神を患う妻・笑子と、ゲイで恋人のいる夫・睦月の夫婦生活のお話。お互い脛に傷持つ者同士と了承し結婚したが———? 半分くらい読み進めたところで笑子の言動の痛々しさに音を上げ読むのをやめてしまっていたが、このアプリがリリースされたのを機に読破しようと思い立ち購入から一年越しくらいに読み終えた。生活描写とオチは結構好きかも。内容がわかっているうえで読んだら一気読みできそう? 短いしそのうち読み直してみようかな。 『きらきらひかる』を手に取ったのは書店のコーナーでこの本を見かけ、高校生の頃の友人が江國香織が好きと言ってたっけと思い出したことがきっかけ。読み始め、当時この友人にイチオシされ読んだ漫画が自身にまったく刺さらず後日笑顔で感想を求められ内心困ったことも追加で思い出した。もしかしたらこの友人とは読み物の好みが合わないのかもしれない……。 ただすべてがすべて合わないわけではないのかも? おすすめの江國香織の小説があったら教えてほしい。
- 2025年1月12日風が強く吹いている三浦しをん読み終わったお正月休み用に購入、読了。オンボロ学生寮に住む10人の大学生が箱根駅伝を目指す話。 昔から体育が苦手でスポーツ観戦をしたりスポーツ系作品を読んだりもしないのでどうかなと思っていたけど楽しく読むことができた。インドア派だけどちょっと走ってみたくなる。 年末までに読み終える予定がお正月明けの読了だったので、実際の箱根駅伝(テレビ中継)を見てみるのは来年に持ち越し。また今年の大晦日に読み返したい。 アニメ化されているらしく調べたところ、脳内で思い描いていた姿と似ている登場人物もいれば全然違う登場人物もいて、本の面白いところだなぁと思った。
- 2025年1月6日ゆびさきに魔法三浦しをん読み終わった💅お正月休みに読了。ネイリストのお仕事本。 月島美佐の世界は大沢星絵との出会いで徐々に広がってゆく。大沢星絵もまた、月島美佐のことを慕っており———やっぱり私は三浦しをんの紡ぐ人と人とのかかわり描写が好きだなぁと再認識。普段ネイルサロンでネイルをしてもらうのでこのシーンはあの施術のことだなと度々わかるのも面白い。 フィクションだと読み進めていると同著者の『ののはな通信』同様現実世界で起きている事柄が出てきてドキリ。読み終わった後はどうかあの世界の「月と星」や「あと一杯」が末長く続いていきますようにと祈り、いやきっとこの先も続かせていくんだろうなと思った。
- 2021年11月30日バーにかかってきた電話東直己かつて読んだ心に残る一節"俺たちは、生まれる環境も、生まれる国も、生まれる時代も、自分の体も、自分の脳ミソすらも自分で自由に選べないのに、いきなり生まれさせられて、そして自分の人生の責任を押しつけられる。それで楽しくやれる人間はそれでいいけれど、ついて行けない人間はどうすればいいのだろうか。"(P.265) かつて読了。『探偵はバーにいる』の続編。大泉洋主演の実写映画が面白かったので原作小説を読んだ。 初めて読んだとき上記一節に心の底から同意した。
- 2018年5月31日ののはな通信三浦しをんかつて読んだハードカバー発売時に購入し読了。のの(野々原茜)とはな(牧田はな)の手紙やメールでのやり取りを通し時間は進行してゆく。 装丁やタイトルの可愛らしさとは裏腹にずっしりと来る内容。ハッピーエンドが好きな私としては少し寂しい結末に感じる。まぁでも最初に裏切ったのはののだし……。 読み進めていくごとに物語内の時間が経過していくのだが、小説=フィクションというイメージだったため、リアルタイムで自身が経験した現実の事柄が登場し驚いた。あと主人公が私の好きなアイドルと同姓同名でそちらもびっくりしている。\アカネチャン!/ 今の価値観で読むとまた違った印象を受けそうなので、いつか再読したい。
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