
よいずみ
@reads_1204
2026年9月8日

暁星
湊かなえ
読み終わった
今年、というか今まで読んできた本の中でも上位の苦しさを感じた作品だった。
櫻井孝宏と早見沙織!?最高じゃん!!とか思って手を出さなければ、避けているまであったかもしれない。
お2人の朗読がとても素晴らしく、黙読するのとはまた違った感覚で情景が浮かび、それもあって苦しかったのかもしれない。
暁闇と金星で暁星。
「ただ星を守りたかった」はずりいよ……。
⚠️下記ネタバレあります
金星の章は、暁闇での暁の手記には欠片も登場しなかった、暁が大切にしていた星子の目線。
星子もまた愛光教会に家族、人生を狂わされる宗教2世であり、人生で6度だけ会った暁との思い出が語られる。
小説家である星子が記した「フィクション」として語られるが暁の手記と同じ仮名の人間が登場し、より教会の内部が描かれる。
ずっと息苦しい家庭環境、母親の機嫌の乱高下に歯を食いしばって耐えるしかない閉塞した星子と暁の日々は同じで、どうしてそんなにも子供のことを考えずに自分勝手に振る舞えるのだろうかと思ってしまう。
自分だったら言い返すのに、殴りつけてやるのに、そう考えられるのも穏やかな環境で育ててもらったからだろうか。同じ環境にいたら、そう思うこともできないのではないか。
それでも、星子から見た暁の優しさやユーモア、2人だけだから楽しかった一瞬の邂逅が描かれ、暁の人生がただ暗いだけのものでなかったことがわかったのは嬉しい。
それから星子の小説が素晴らしいものであったのは前提ではあるが、販売部数が伸びたことの理由として販促に教団が大きく関わっていることが母から告げられるところは、もう誰を信じたら良いのか、自分の力も信じられなくなるような、足元の力が抜け視界が暗くなるような感覚があった。早見沙織の朗読あってこそだと思った。
本当に強い2人だ、得られたはずのものを得られず、ただ失うばかりだったのに、互いを思い、より多くの弱者の救済に目が向くように、巨大すぎる組織や社会の問題に一石を投じた。
扱いにくいテーマを取り扱った湊かなえの文章には、作中の金谷灯里のような覚悟を感じられた。
おそらく元になっている安倍元首相殺害事件に関する書籍も読みたいと思う。

