あかねいろ "変身" 2026年9月8日

変身
変身
フランツ・カフカ
切なく虚しい、それでいてどことなく清々しい、不思議な読後感を得た……。 たしかに言えるのは、め~~~ちゃくちゃに好きな作風だということ。 ある日突然、自分ではない何かになってしまっていたら。 誰でも一度は考えたことがありそうな妄想(もちろん自分も何度もしたことがある)が、百年以上前の、それも日本とは文化も何も違うであろう国で生まれ、生きた一人の人間によって物語として出力されて、それを今の自分が読んでいるということにまず感動を覚えた。 『チ。─地球の運動について─』 という作品に「文字は、まるで奇蹟ですよ。」という大好きな台詞があるのだけれど、まさしくそれを体験したような気がした。時間と場所を超越した感動は、たしかに奇蹟としか言いようがないなという実感を得た。 作品の感想(+考察)については、個人的にザムザの身に起きた変身は比喩表現、もしくは夢や妄想の出来事なんじゃないかと思った。 どれだけ働いて家族に尽くしても、いつか働けなくなってしまったその日からは穀潰しとして扱われてしまう、そんな悲しい可能性を描いた物語なのかなとか……。(そうであって欲しいという願望もある、本当に哀しいので) P.83やP.102などにある、虫になってしまったザムザが家族に気を遣う描写には胸を打たれたし、それを気にも留めない、と言うより、もはやそんな余裕も失くなりザムザを追い払い、追い出そうとする家族の描写には胸が痛んだ。でも家族の気持ちもわかる、そりゃ辛いよね……。 作者フランツ・カフカの生い立ちや考えが載せられている解説も含めて、本当に良い作品だった。もっと早くに読んでおけばよかったなぁ……。
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