まえしゅん "山の音" 2026年9月9日

山の音
山の音
川端康成
四季折々に移り変わる自然を美しく切り取り、老年の心に浮かぶ死の影と重ね合わせる。如何にも日本的な情緒を感じさせるようで、優れた筆致だと思う。 前半の山の音を聴くシーンなど、幽玄の感じがして好きな所もあるが、全体としてはあまりピンと来ていない。 筋立ての曖昧なこと、閉鎖的で希望の少ない家族像に憂鬱になってしまったこと、などが原因かもしれない。菊子のヒロイン像は可憐だけど、信吾の若かりし理想像の反映のようで、何処か違和感の種が残ったりもした。 川端の老年の作ということなので、10代の自分には咀嚼しきれない深遠さがあったようにも思う。いずれ年を増してから再読すると良いのだろうか。78点。
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