滋味 "夜は短し歩けよ乙女" 2026年9月9日

滋味
滋味
@jimicked
2026年9月9日
夜は短し歩けよ乙女
読み始めてまず驚いたのは、独特でクセの強い文章でした。古風で大仰な言い回しに、個性的すぎる登場人物たち。正直、最初は「ずっとこの調子なのだろうか」と少し戸惑いました。 ところが読み進めるうちに、不思議とそのリズムに慣れてきます。そして気がつけば、奇妙な出来事が次々と起こる京都の街を楽しみ、天真爛漫にそこを歩き回る「黒髪の乙女」にまた会いたくなっていました。 読んでいて何度も頭に浮かんだのが、高橋留美子さんの『うる星やつら』です。もちろん物語はまったく違いますが、個性的な人物たちが次々と現れ、荒唐無稽な出来事が起こり、それを皆が大真面目に受け入れながら騒動がどんどん膨らんでいく。そのドタバタした喜劇の雰囲気がどこか似ていて、途中からは登場人物たちが高橋留美子さんの絵で頭の中を動き回っていました。 かなり個性的な文体なので、人によって好みが分かれる作品だとは思います。しかし、そのクセこそがこの不思議な世界を作っているのでしょう。最初に感じた読みづらさまで、読み終えるころには作品の味になっていました。 そして何より、黒髪の乙女が魅力的です。 本を閉じたあと、あの不思議な京都の街というよりも、「もう少し黒髪の乙女を見ていたかったな」と思っている自分がいました。
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