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@bunkobonsuki
2026年9月9日
たった一人の読者を生きる
荒井裕樹
市販されない、それどころか身内にすら見せない、ごく狭い世界で読まれる作品たち。「障害者文学の研究」を行う著者は、そんな影を帯びた作品たちについて語る。
「障害者文学の研究」は、文学部と福祉学部の間に位置する、谷間の学問分野である。文学部にいれば「福祉学部の分野だろ」と言われ、福祉学部にいれば「文学研究じゃないの?」と言われる。
どちらにも属することができない分野というのが、著者の研究なのである。本の中で語られているが、大学で研究内容を発表した時は暴力沙汰すらあったというのだから驚く。
人文学はパッケージ化してしまった、と私は思う。そこでは既存の研究の深掘り、既知の追認ばかりで、未知の探究がされない。著者のような未知の探究をする人を迫害してしまうのが、人文学の現状である——こう言っても過言ではない。
読む人が少ない文章を保存して、解釈すること。それは学問においては大きく称揚されないだろうが、確かに必要なのだ。

