梔子 "へびつかい座の見えない夜" 2026年9月9日

梔子
梔子
@asago_404
2026年9月9日
へびつかい座の見えない夜
〝何か〟を集める人たちの物語。 集めているそのもの自体、はたまた収集という行為に魅せられるまでの経緯はもちろん多種多様で、そこに至るまでのそれぞれの人生の苦悩や傷を描かれた作品。 どんなものも興味が無い人からすれば、がらくたになってしまう。表題作でもあった親に「そんなもの集めて〜」と言われるくだり、心当たりある人いっぱいいるんじゃないのだろうか。 話によっては集めてるものがちょっと犯罪めいていたけれど、趣味とか夢中になっているもの馬鹿にされるのは誰だって不快だ。別に理解しなくていいし、せめてその人の前だけでも口を閉じるという簡単なことができない人は多いよね。理解する気もないのにその人の領域を侵していいと思ってるなんてなんて傲慢なんだろう。 帯には強く収集癖と謳っていたけど、そう書かれなければ分からないくらいで、強いて共通点上げろって言われたらみんな何かしら集めてるかも……と思う程度。まぁテーマなんてどうでもいいくらい今回も面白かったというかじんわり沁みた。 どの話も好きだけど⬇のふたつが特にお気に入り。(ネタバレ気味の感想) 『トカゲのいる闇』 不妊治療を諦め傷心中の妻を他所に、勝手にレオパを買ってきてその抜け殻収集に夢中な夫。 専業主婦という、休みも報酬も将来の絶対的な安心もないのに、何かを買うにしても出かけるにしてもいちいち夫にお金を貰い、許可を貰い───と、不安定で不自由な生き方に憂い迷う。 全然主人公と立場も状況も違うのに、すごく共感して刺さった。 専業主婦を勧めるの、このご時世それを提案できるのはもちろんすごいけれど、働かなくていい=優しさじゃなくて、自分があらゆる意味で優位に立ってしまうことを自覚して、かつ相手の未来まで配慮しなければいけないのかもしれない。 別小説だけれど「自分の人生の手綱は自分で握っていたい」という言葉を思い出す。 『ハマエンドウが咲いていた』 周囲の止める声に聞く耳を持たずに荒れた海でサーフィンする婚約者に、せめてものお守りをとイルカの耳石を探す女性。いくら探しても見つからず、やがて漂流物を異常なまでに集めているという男を知り、その男の元へ向かうが……。 老人の語りスタイルで展開されていく、おとぎ話のような二人の男女の物語。 ベタだけどもこういうのが好き〜!!端から端まで好み〜!! 現実的な話で長編が好きだけど、時にはこういう昨今の男女論争とか気にしない描写があって(昔話というのもあるけど)、かつ短編だからこそ深堀しなくても違和感にならない程度の要素の入った話を無性に読みたくなるし眩しく見える。 何を語ってもネタバレになるから語らない。とにかく好みだったという話。
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