さくら🌸 "ゴリラ裁判の日" 2026年9月10日

ゴリラ裁判の日
ゴリラ裁判の日
須藤古都離
人間とは何か、という常識を覆される作品。 タイトルだけ見たら、ゴリラが裁判?『猿の惑星』みたいに、類人猿たちばかりになった世界線の話だろうか?と思ったら人間相手にゴリラが裁判をする話で、肝心の言葉は手話を使い、グローブが手話を読み取って音声にするというもので、SF的だけど近い将来もしかしたら実現するかもしれないと思うようなリアリティさもあった。確かに限りなく人間に近い(というか遺伝子的には98%ほど共通してるらしい)ゴリラに、子どもの頃から手話を教え込めば、知能の高い類人猿なら可能なのかもしれない。 ローズは賢いだけでなく素直で、強くて、想像力の豊かなゴリラで、愛すべきキャラクターだった。 ジャングルにいながらもローズに人間としての感性が芽生え始めたところには、実験的に彼女に人間の言葉だけでなく、常識や価値観を教えてしまった罪深さも感じた。 ゴリラ裁判の陪審員に選ばれた人たちが、最後のその決断にいたるまでの描写も見たかった。 この世に正義なんてものはない。人間がより良い世の中にするために長い歴史をかけて司法制度を作り上げた。その功績には敬意を表するが、いつの間にか人間は、この世のどの動物よりも上の存在であると、まるで神にでもなったかのようなつもりでいるのかもしれない。地球規模で考えれば、人間が存在しているのはほんの短い時間なのに。遥か昔から存在した自然を切り拓いたところに住んでいながら、なんて傲慢なんだろうと思わずにいられなかった。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved