ラタトゥイユ "ポトスライムの舟" 2026年9月10日

ポトスライムの舟
今年読んだ日日是植物と同じく、とてもポトスが欲しくなる本だった。 ポトスライムの舟は、起きている事象は決して優しくないのに空気感は落ち着いていて、登場人物それぞれに人生の転機が訪れていくのに、全体としては穏やかに感じた。 主人公は、世界旅行こそしないまま終わったが、友人親子の居候や数年ぶりの風邪などのトラブルに見舞われつつも、一年で目標金額を貯めるという成功体験を得た。 だから最後に清々しさがあるのだろう。 十二月の窓辺は、正直メンタルが弱っている時期だったら読めなかったと思う。 読みながら本当に耳元で怒鳴られているようで、胃がキリキリとして呼吸が浅くなった。 全編通して同じ文字の大きさなのに、課長が怒る場面は本当に大声が聞こえてくるように感じてやめてくれと願っていた。 文章の力ってすごい。 自分にも、これほど激しくはないとはいえ共感できる経験があるが、下手に自分事に解釈して噛み砕かない方が良い気がした。 自分に事象を近づけないと面白がれないのは、対象を歪めて自分のしたい受け取り方だけをするということで、それはこの本には合わないと思った。 読書はとても個人的なことだとも思うし、私は自分の好きなようにしか読んで受け取ってこなかったので、どうしてこう感じたのかはわからない。 解説でこの二つの話の繋がりを明かされ驚いた。 全く気がついていなかった。 良い本を読んだと思う。
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