さんりお "ファイア・ドーム(下)" 2026年9月11日

ファイア・ドーム(下)
閉鎖的な社会で事件が起きたとき、真に恐ろしいのは奪われた命が戻らないことだけではない。被害者を取り巻く根拠のない噂や、悪意ある誹謗中傷、そして人々が好奇心から無自覚にその加害へと加担してしまう構造そのものだ。 作中の事件は25年前の出来事として描かれているけれど、これは決して過去の時代の問題ではない。むしろSNSが普及し、誰もが軽率に無責任な発言を拡散できる現代において、同様の過ちを犯す土壌は十分に揃っている。だからこそ、私たちは流れてくる噂に対してより一層慎重であるべきだと強く感じた。 事件によってどの登場人物、それぞれは多くのものを失い、その喪失は非常に切ない。でも、その過酷ななかでもそれぞれ得たものがあったのは、せめてもの救いのように思える。また、登場人物たちがそれぞれに責任感と誠実さを抱えて生きている姿も深く心に残った。
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